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○こちら特撮情報局 特撮男優・女優スペシャルインタビュー 第1弾
 
賀川ゆき絵 ロングインタビュー その2
 
【敵味方とも仲良しだった『スパイダーマン』】
―――  70年代には沢山の映画・TV作品ご出演を経て、78年には東映制作の『スパイダーマン』でアマゾネス役をお演りになっていますね。どのような経緯で参加されることになったのですか?
賀川  あれはね、『ブラック・チェンバー』の吉川進プロデューサーが、「どうしても賀川さんに演って欲しい」とおっしゃって下さって、お引き受けしたんです。で、私は「演ります。その代わり、番組に私が出ていることが解るように(素顔を)出させてください」ってお願いしたの。そうしたら「編集長・吉田冴子は元々アマゾネスだった」という設定にして、気を遣ってくださったのね。アマゾネスの衣装はね、型を取ってちゃんと造ったんですよ〜。型を取るために石膏のプールみたいなのに入って(笑)。『スパイダーマン』は人気が出て、放送半年の予定が一年に延びたの。観ている方に飽きられないように、途中で衣装を代えよう、頭(カツラ)も代えようという話になって、赤いカツラになりました。途中私が「衣装はそのままでイイから、赤いカツラだけ黒髪に戻して」と言って、竹本監督も「雪絵ちゃん、赤(カツラ)はどうだろう(=不味かろう)」と仰ってくださった。だから後期の衣装のまま、黒髪に戻った時期がありました。ただ「死ぬ時は最初の衣装で死なせてください」というのが私の意向で、吉川プロデューサーもそれを認めてくださったの。2種類の衣装のどちらが好きだったか?って訊かれれば、前期の方ですね。…というのも、衣装デザインや衣装合わせの前から、これこれこういうイメージの、こういうデザインの衣装が欲しい、この部分はタイツ地にして欲しい…とかアイデアを出す形でタッチしてましたから。
―――  なるほど、その分だけ前期の衣装に深い思い入れがおありなんですね。かたや鉄十字軍幹部・アマゾネス、かたや「週刊ウーマン」の女性編集長・吉田冴子。二面性を持つ特殊なキャラクターを演じるうえで、いろいろなご苦労があったとお察ししますが?
賀川  要するに、アマゾネスは普通の人間ではないわけです。機械的な悪の権化・アマゾネスの冷酷さと、たとえば普通にお茶を飲んでいる冴子の人間味のあるところ、その両方を頭の中で切り替えて、キッチリ演じ分けなければならなかったところが、難しかったですね。冴子はね、ほんのちょっと「賀川雪絵らしさ」を出しました。素のまんまの顔つきとか(笑)。
―――  そんな知的なキャリアウーマンの冴子、そしてサディスティックで屈強なアマゾネス。ともにスゴクお綺麗でした!(はぁと)
賀川  いや〜、そんなことないですけど。フフフ…(照笑)。あと大変だったのはね、四季を通じて演ったので、冬ロケ現場にあの衣装でいると、もう!寒いのなんのって!!スタッフの皆さんが毛布をかけて下さったり、火を持ってきて下さったりで、まだ私は良かったけれど、一番大変だったのはJAC(現.JAE)の子たち。彼らには誰も何もしてくれないから、自分達の防寒着で寒さを避けるしかないの。JACの子たちが演った戦闘員のタイツは、スカスカで水着みたいなものだったから可哀相だった。あとね、大変だったのは爆発シーン。火が点いた燃えカスや石が飛んできてね、火傷するの。爆破の炎を背にして「アマゾネスだ〜!」って見栄を切らなければならないシーンで、「熱っちぃ〜!」とか言えないからね(笑)。靴下が焦げているのが見えているんだけど、カットが掛かるまではお芝居を続けなきゃなんない。で、カットが掛かって「熱っちぃ〜!」って声を上げたら、助監督さん達が目の色変えてこっちへ飛んでくるんですよ〜。でも一番大変だったのは、やっぱりJACの子たち。だってスゴイ火傷しちゃってましたからね。
―――  「ペーペー」と呼ばれる若い脇役の方々にまで視線を向けていらっしゃるところは、流石お優しい賀川さんですね。
賀川  撮影で夜遅く最後まで現場にいなければならないのは、JACとアマゾネスなの。だからJACの子達とは、よく一緒に呑みに行きましたよ。
―――  そうなんですか〜。逆に楽しかった部分は?
賀川  三浦リカにしろ、大山いづみにしろ、香山君(現.藤堂新二氏)にしろ、みんな役の上では私と敵同士なんだけど、メチャクチャ仲が良かったことですね。特に私たち「女三人組」はね(笑)。
―――  丁度お訊きしようと思っていたところなんですが、レギュラーキャストの皆さんのお人柄や思い出をお教えください。
賀川  香山君はね、純朴でもの凄く真面目!とにかく一生懸命演る人。初っ端、彼に、「もうちょっと垢抜けた感じに演った方がイイんじゃない?」って、アドバイスした覚えがある。だってあの子、東京宝映(プロダクション)から抜擢されて、『スパイダーマン』で初めてお芝居をしたから。あと、彼と同じ事務所の三原順子とかも(番組に)出ていました。『3年B組金八先生』なんかでブレイクする少し前ね。香山君は、(スパイダーマンのスーツの)中に入っていたJACの古賀ちゃんの出番を全部観に来てましたよ。山城拓也の動きと繋がるように。あと、香山君自身がスーツの中に入る時もあったから。今、(スーツアクターの動きを観察して、変身前後のキャラクターを整合させるという)当り前のことが出来ない子が多い中で、彼は頑張ってやってましたよ。夜遅く最後まで現場に残ってね。
―――  うわっ、香山さん、すごく真面目でいらしたんですね。ヒロインの三浦リカさんは、いかがですか?
賀川  リカはね〜、妹みたいでもう凄くカワイイ!この間も会ったばかり。しょっちゅう電話で話しているから。二人ともお酒が好きだからよく呑みますよ(笑)。彼(堤大二郎氏)と幸せになって欲しいです。
―――  拓也の妹役、大山いづみさん…。
賀川  いづみは、元々モデルの娘(こ)で、台詞まわしやカメラ前の立ち方とか初めての経験だったので、一生懸命演っていましたよ。私やリカがお芝居を教えたり。性格がイイ娘だから、もう真面目に取り組んでましたね。とにかく仲が良かったです、レギュラー全員。
―――  そして忘れてはならない、モンスター教授役の安藤三男さん…。
賀川  あ〜もう最高ですね!たまにロケで岩場の高い所に立つ以外は、鉄十字団本部のシーンで私とだけ一緒でしたから、他のキャストとの交流はなかったですね。
―――  安藤さんは、お仲間の潮健児さんと違って、なかなか情報が入ってこない…私たち特撮ファンからすると「謎の人」というイメージの俳優さんなんですが。
賀川  安藤さんは、人付き合いが苦手な方だったんです。私は『スパイダーマン』の前から安藤さんのことを知っていたし、お付き合いはあったんですけどね。例えばJACの子たちは、安藤さんを「小難しい感じの人」って敬遠して、傍に行かなかったから。そういう時に傍へ行って話をするのは、私ぐらいのものだったから。その頃から妙な咳をなさっていらしたから、多分お身体がお悪かったと思うんですけどね。入りの時はみんなに「おぅ、おはよう!」って挨拶していらしたけど、みんなからすれば、ちょっと恐い存在だったかも知れないですね。
―――  撮影の合間、賀川さんは、安藤さんとどういった話題のお話をなさっていらしたんですか?
賀川  昔の映画の話とか、あと「『(人造人間)キカイダー』の時は、あんな事やこんな事があった」とか、安藤さんの方からもの凄く沢山話しかけて下さるんですよ。話す相手は私くらいしかいなかったから。結構よく喋る方でしたよ。私がお茶をもって行くと、「どうもありがとう」って言ってくださったし。「今の若いのは、あかん!ダメだ。挨拶ひとつ出来ない」って、よく言ってましたね。静かな方ですが、礼儀には厳しかった。
―――  以前、賀川さんは、ある雑誌のインタビューで、『スパイダーマン』の打ち上げ時のエピソードについて、コメントしていらっしゃいましたね。そういう賑やかな場が嫌いな筈の安藤さんが突然いらして…。
賀川  そうなんです!私、もうビックリしちゃって涙が出そうになりましたモン。まさか安藤さんが六本木までいらっしゃるなんて、誰も考えてませんから。一応私が声を掛けたんですが、元々そういう場がお嫌いな方だから。ある監督が、「うわ〜ウソだろ?安藤さんが!安藤さんが来たよ〜!」って大騒ぎして、吉川プロデューサーも「(安藤さんが)わざわざ来てくださるなんて!」って、ビックリしてました(笑)。皆さん、安藤さんの食べ物を盛ってあげたり、キチンとお世話してましたよ。それで、みんな離れがたくなっちゃって、『スパイダーマン』の主題歌を泣きながら歌って…。一年間番組が続いたし、みんな本当に仲が良かったし。番組が終ってからも、ずっと付き合いが続いているし。だから香山君…藤堂君も呼んで、「『スパイダーマン』同窓会」とか「『スパイダーマン』ファンの集い」とかやりたいです。 安藤さんはもういらっしゃらないけど、竹本監督や山田監督もお呼びしてね。
―――  実は…竹本監督と山田監督は、もう10年くらい前に亡くなっていらっしゃるんですよ。
賀川  !!(しばし沈黙の後)…大好きな監督だったのにぃ…(涙)。山田さんは『ブラック・チェンバー』の頃からのお付き合いだったから…。竹本さんは、『キイハンター』の時は必ず「ゲストは賀川雪絵で」と仰って使ってくれて…。曽我(町子)さんとはその回も一緒で…。とにかく、凄く雰囲気が良かった竹本さんや山田さんがいらした『スパイダーマン』の現場が、懐かしく思い出されますね。
【銀河無宿・アマゾンキラーがキレた日】
―――  『スパイダーマン』から3年後、『太陽戦隊サンバルカン』中盤からアマゾンキラー役で参加されていらっしゃいますが、その時のお話をお訊きしたいと思います。
賀川  これも吉川進さんからお話を頂きました。「途中からなんだけど、ちょっと“薄い”(インパクトに欠けている)から、出てくれないか」と言われて、お受けしたんですね。バルイーグルが代わることと、ゼロワンが抜けることは解っていましたから。
―――  既に関係者の輪が構築されてしまっている中、シリーズ中盤からのご参加、しかも撮影一本目が静岡浜名湖ロケで、いかがでしたか?
賀川  初っ端から宿泊ロケで、みんな気を遣ってくれましたが、サンバルカンの3人やゼロガールズは、私を見てビクビクしてて(笑)。「何をビクビクしてるんだろう?ナンなんだろう?」と思いましたけどね。
―――  「銀幕スターの賀川さんが、今日から仲間になったから」と唐突に言われても、それはやっぱり…(笑)。
賀川  そんな雰囲気のままでいてもナンなので、「すぐにゼロガールズ達と仲良くならなきゃ…」と思いました。
―――  「アマゾンキラー」というキャラクターは、前年から曽我町子さんが演じていらしたヘドリアン女王の「かつての部下」という設定でした。前年度作品の世界観が、ある程度継承されているという稀有な背景の中、どのような役づくりを意図されたのですか?
賀川  『デンジマン』はずっと観てました。で、まず「アマゾンキラーは、へドリアン女王のために、いつまでもいつまでも永く仕えている」という点を念頭に置いてから演じましたね。女王に跪(ひざまず)き、常に助ける、庇う、尽くす。へドリアン女王との位置関係で見せていく。サンバルカンは敬愛する女王に敵対する者ですから、徹底的に憎々しく演りました(笑)。勿論アマゾンキラーは、悪(ワル)なんだけれども、「その人一筋。一人の主人に仕えるためだけに、銀河系の星からやって来たんだ」と、ず〜っと思って演ってました。
―――  へドリアン女王とアマゾンキラーの絆は、プライベートでも仲の良い曽我(町子)さんと賀川さんとの深い絆が、反映されていた…と見て、よろしいですか?
賀川  それは勿論あったと思います。曽我さんとは、割と普段も年中一緒に遊んでいましたし。カメラの前では主従関係でしたけど、その後は一緒にお昼ご飯食べに行ったり。だから例えば、ヘドリアン女王とアマゾンキラーがアップで見つめ合うシーン…「頼むぞ、アマゾンキラー!」「ははぁ!」っていう(阿吽の呼吸が必要とされる)台詞があっても、(プライベートでの仲の良さ故)自然に上手く出来たんだと思います。
―――  なるほど。一方アマゾンキラーの部下であるゼロガールズ役の女優さん達ですが、曽我さんからお訊きした限りでは、あまり仲良しさんではなかったとか…。
賀川  (彼女たちの仲の悪さに)曽我さんは困ってましたね。まとめ役を頼まれた私が、いくら一生懸命まとめようと思ってもダメだった。多分ゼロワン役の方も(まとめ役として)苦労されたんだと思います。ある娘(こ)は、「賀川さ〜ん!」て言って、泣きながら私のところへ来るから、その度に話は聞いてあげるんだけど、でも怒るべき時は怒りましたよ。悩みは、いつでも聞いてあげたつもりですけどね、あと食事やディスコに連れて行ったり…。
―――  結果的には、面倒見のよい賀川さんのお蔭で、終盤までゼロガールズが降板する事態に至らなかった…ということですね。
賀川  そうですね。本当は一部の娘を降ろそうか…という話まで出ていたそうですけど。『スパイダーマン』では、女の子同士、みんな仲が良かったから、『サンバルカン』では(ゼロガールズ役の娘たちの不仲が)不思議で仕方なかった。物語終盤、内紛劇が描かれてましたけど、同じ内紛劇でも、女優達のそれよりもブラックマグマの(内紛劇の)方が、ずっとカッコ良いもんね。