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○こちら特撮情報局 特撮ロケ地巡り
 
 第24回 特撮ロケ地レポート
 『愛の戦士 レインボーマン』 第16・35〜38・52話ほかロケ地 東京都世田谷区「A幼稚園」


『愛の戦士 レインボーマン』
第16・35〜38・52話ほかロケ地 東京都世田谷区「A幼稚園」

特派員:奥虹
取材日:2008年3〜4・6月某日

 今回紹介させていただくロケ地は、タケシの恩師・レスキの正造とその娘・淑江が経営する幼稚園「どんぐり園」である。「同園運動所」ではオルガンを弾く淑江を囲み、園児たちが元気に遊戯をするシーン、淑江がタケシにデートをすっぽかされブランコに乗ったまま落ち込むシーンなどが撮影された(共に第35話)。また「同園正門」では、死ね死ね団の誘拐から救出されたマー坊がタケシにおぶられ、淑江に保護されるシーン(第16話)、勤めを終えた淑江をタケシが待ち伏せ、明日のデートを約束するシーン(第35話)などが撮影された。

◯『愛の戦士 レインボーマン』第35話「姿なき黒い手」あらすじ

 
 DACの魔手から救われたアリシア連邦国・ダリンジャー大統領補佐官(演.オスマン・ユセフ氏)は、ダッシュ7(演.水谷邦久氏)に「『日本は危険な国ではない』というレインボーマンを信じる」と語る。かくして死ね死ね団の要人暗殺による日本孤立化作戦は失敗をみた。その頃オルガ(演.藤山律子氏)はDAC訓練を指導中のロリータ(演.皆川妙子氏)のもとを訪れ、「Xゾーン破壊作戦に必要な特殊火薬を隠密に運搬する」というミスターKの作戦を伝えていた。人間複写装置を用いDAC隊員をヤクザ・黒木(演.山口譲氏)と生き写しに変え、怪しまれず特殊火薬を運搬しようというのだ。恋人・淑江(演.伊藤めぐみ氏)と“どんぐり園”で昼休みを楽しんでいたタケシは、「火薬工場爆破事故は何者かが故意に火薬を爆発させた可能性あり」と報じるラジオニュースを聞き、地底戦車・モグラートの影を感じ取り、園を飛び出した。そしてダッシュ6に化身し火薬工場地下を探索した結果、モグラートが火薬を運び出した痕跡を発見する。勤めを終えた淑江を待ち伏せていたタケシは淑江に詫び、明日の淑江の誕生日には必ずデートをすると約束する。さらに帰り道、ヤッパの鉄(演.山崎純資氏)に出会ったタケシは、鉄から「自分と瓜二つの人間が悪事を働いている」という信じ難い話から、死ね死ね団の策謀を察知する。DACが化けた黒木と鉄に接近したタケシだが突然斬りつけられ、偽者たちも逃走した。ダッカー戦闘機によるダム爆破など、事態は益々悪化の一途を辿っていた。そんな折、偽者黒木の誤解から特殊火薬運搬の日時・場所を告げられた(本物の)鉄は、事件をタケシに知らせるため“どんぐり園”を訪ね淑江に伝言を依頼する。デートをすっぽかされ拗ねた淑江は、鉄からの伝言をタケシに伝えることを躊躇していた。「レインボーマンは宇宙から来たスーパーマンではない。ロボットでもサイボーグでもない。人間なんだ。俺も一緒に戦わなくてはならない!」と真摯に語るタケシに対し、淑江も澄んだ瞳で真実を伝える。火薬積込みのため第四埠頭へやって来た偽黒木たちを追い、7が到着。ヤッパの鉄も共に戦う。その戦いを静観していたオルガ・ロリータは、鬼神にも似たレインボーマンの圧倒的な強さを観て一旦退却した。火薬倉庫は大爆発を起こし、死ね死ね団の作戦はまたも潰えるのだった。

◯『愛の戦士 レインボーマン』第37話「Xゾーン破壊命令!!」あらすじ


  東南アジアとヨーロッパ調査団が搭乗した飛行機が撃墜された。死ね死ね団戦闘機・ダッカーの仕業だ。アリシア連邦国飛行機が次の標的にされたが、ダッシュ7は“太陽フラッシュ”でダッカーを撃墜せしめた。ミスターK(演.平田昭彦氏)はダッカー飛行隊責任者・キャシー(演.高樹蓉子氏)に撤退を認め、ダイアナ(演.山吹まゆみ氏)には“Xゾーン作戦”用の火薬調達を命令したが、苛立ちの収まらないキャシーは、レインボーマン暗殺を失敗したオルガ(演.藤山律子氏)・ロリータ(演.皆川妙子氏)を責め挑発する。その頃タケシ(演.水谷邦久氏)はひとり商店街を徘徊していた。DACが日本人に変装し暗躍している現状を憂い、通りかかった淑江(演.伊藤めぐみ氏)にすらオルガ(偽淑江)の姿を重ね怯えていたのだ。そんなタケシに淑江は「タケシさんはもっと強い人だったはず」と、励ますしか術がなかった。二人を尾行していたオルガは、公園で語り合うタケシ・淑江を消音銃で狙う。タケシは銃の標的を自分へと巧みに誘導すると一瞬の隙を突き7に化身、オルガにキックを喰らわせ退散させた。タケシは「信じられる女性(ひと)と少しでも永くいたい」と気持ちを吐露、淑江も笑顔でうなずいた。その頃ロリータは人間複写装置でDAC隊員をレインボーマン化し、本物と戦わせようと目論むが失敗。オルガ・ロリータのコンビでタケシ抹殺を遂行することを再確認する。翌朝、公園を歩くタケシをオルガ・ロリータがバイクと銃で急襲、攻撃をかわすタケシに巻き込まれ、10人以上の通行人が巻き添えで死亡した。タケシは残虐な死ね死ね団への怒りを新たにする。一方ミスターKは広島型原爆と同等の破壊力をもつ“スーパーニトロン”を用いた“Xゾーン作戦”を着々と進行させていた。多量の石鹸・石炭を原材料とするスーパーニトロンのため、ダイアナには石鹸の買い占めを、キャシーには石炭発掘のための人員確保を命じる。経済恐慌のなか、破格の支度金での炭坑夫募集に人々は殺到、そのなかにヤッパの鉄(演.山崎純資氏)の姿もあった。淑江を誘拐しタケシを爆破地点まで誘導しようと目論むオルガ・ロリータだが、肝心の脅迫状を“どんぐり園”の前に落とし、誘拐も未遂に終わる。巡り巡って鉄から脅迫状を入手したタケシは、罠と知りながら7に化身し猫岳山頂へ向かう。しかしオルガ・ロリータが空を往くレインボーマンを銃で狙っていた…。

◯A幼稚園(二代目どんぐり園)

 
 「キリスト教精神によって幼児の身体と精神とを円満に発達させ、家庭教育を補うこと」を目的に、1941(昭和16)年に創設された世田谷区内の幼稚園。第二次大戦時に一時閉鎖後、1947(昭和22)年に再開された。園児の増加にともない幾度か園舍の増改築が行なわれている。『レインボーマン』撮影時の園舍は、1986(昭和61)年まで存在したが、創立45周年の記念事業として改築された(現園舍は1987年に完成)。音楽、リズム遊戯、絵画製作、自然観察、言語、お話、紙芝居、人形劇など、子どもたちの“しつけ”と、豊かな情操発育に主眼をおいたカリキュラムを実践している。
 A幼稚園では、『レインボーマン』第1クールで使用された「私立砧こばと保育園」に替わり、二代目「どんぐり園」として第2〜4クールの長きにわたり、ロケが行なわれた。「砧こばと幼稚園」が、周辺道路の狭さから車輌通行が困難であることや、構造上のデメリット(保育園全体が高い壁で囲まれ、園外から園内を望むアングルは正門からのみ。園外からの撮影が不可能など、アングルが限定されてしまう)などの理由から台本の描写と整合しなくなり、国際放映撮影所から最寄りのA幼稚園へ変更されたと推察される。
 「同園運動所」では、オルガンを弾く淑江を囲み、園児たちが元気に遊戯をするシーン、淑江がタケシにデートをすっぽかされブランコに乗ったまま落ち込むシーンなどが撮影された(共に第35話)。また「同園正門」では、死ね死ね団の誘拐から救出されたマー坊がタケシにおぶられ、淑江に保護されるシーン(第16話)、勤めを終えた淑江をタケシが待ち伏せ、明日のデートを約束するシーン(第35話)、校庭で園児に囲まれながらオルガンを弾く淑江を、オルガ扮する偽淑江が園外から睨むシーン(第36話)、淑江を誘拐しタケシを爆破地点まで誘導しようと目論むオルガ・ロリータが、肝心の脅迫状を正門前に落とし、誘拐未遂に終わるシーン(第37話)、園児と淑江の様子を微笑ましく見つめるタケシが「明るい子どもたちを自分一人の力で救えるか」悩むシーン(第38話)などが撮影された。

 
A幼稚園全景

A幼稚園全景。『レインボーマン』撮影時の建物は、1986(昭和61)年まで存在。創立45周年の記念事業として改築された現園舍は1987年に完成した。

 

A幼稚園(画像左)玄関沿いにある路地。祖師ケ谷大蔵駅方向から国際放映方面を望む。

A幼稚園玄関沿いにある路地 その1

 

A幼稚園玄関沿いにある路地 その2

A幼稚園(画像右)玄関沿いにある路地。死ね死ね団の誘拐から救出されたマー坊がタケシにおぶられ、淑江に保護されるシーン(第16話)、勤めを終えた淑江をタケシが待ち伏せ、明日のデートを約束するシーン(第35話)などは、この辺りで撮影された。
 
A幼稚園玄関。淑江を誘拐しタケシを爆破地点まで誘導しようと目論むオルガ・ロリータが、肝心の脅迫状を正門前に落とし誘拐未遂に終わるシーン(第37話)は、この辺りで撮影された。

A幼稚園玄関

 

園内運動場にある遊具 その1

園内運動場にある遊具 その2


園内運動場にある遊具は、すべてリニューアルされた。『レインボーマン』撮影当時、園舍に隣接するスペースにあった“築山(つきやま)”(滑り台などを兼ねたコンクリート製の小山)も既に撤去されている。劇中確認できる“藤棚”は、この36年間でかなり生長している。

 
A幼稚園の斜め向かいにある電子部品関連会社(画像右の白い建物)は、『レインボーマン』撮影当時の面影をそのまま残している。

A幼稚園の斜め向かいにある電子部品関連会社

 
鉄製の階段
第37話、淑江の誘拐を目論むオルガたちは、この会社の建物の影から幼稚園の様子を窺っていた。鉄製の階段はリペイントされているものの撮影当時のままだ。
 
◯あとがき

 
 2002年に『レインボーマン』ファンサイトのご常連諸氏と、A幼稚園の見学をさせていただいたことがあった。見学申し込みの際、ご親切にご対応くださった園長先生の温厚なお声が忘れられない。まさしく(伊藤めぐみ氏演じる)淑江先生を彷彿させる方だった。『レインボーマン』撮影当時の園舍はもう存在しないが、67年間にもわたり、優しい諸先生と園舍のもとで健やかに学び、巣立っていった園児の皆さんがいることの歴史の重みを感じずにはいられない。まさしく保育士は“聖職”だと思う。
 余談だが、都立図書館で『レインボーマン』撮影当時のゼンリン住宅地図をチェックしていたところ、路地を挟み、A幼稚園の斜め向かいに「あずま湯」(1962年開業、1989年廃業)という銭湯があったことが確認できた。幸運にも「あずま湯」関係者にお話を伺うことができた。ご主人のお話によれば、「A幼稚園へ撮影にやってきた撮影隊は、車輌を銭湯の真向かいにあった駐車場に停めて幼稚園へ移動していた」との由。『レインボーマン』第16話、マー坊を誘拐したキャシーが、祖父である印刷工・松前源吉に偽札づくりに協力するよう、銭湯の前で脅迫するシーンがある。同シーンは「あずま湯」が撮影に使われた可能性があるが、当時同銭湯前で撮影が行なわれたかどうか、ご主人のご記憶にはないとのこと。とすれば、撮影効率を地理的に考えて、国際放映撮影所から最も近く世田谷通り商店街付近にあった「大蔵湯」(2004年頃廃業)の可能性もあり、現在調査中である。ちなみに現在「あずま湯」「大蔵湯」ともに建て壊され、両店舗跡はマンションになっている。