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○こちら特撮情報局 特撮ロケ地巡り
 
 第28回 特撮ロケ地レポート 『愛の戦士 レインボーマン』第33・34話ロケ地ほか 東京都港区「第三台場」


『愛の戦士 レインボーマン』第33・34話ほかロケ地 東京都港区「第三台場」

特派員:奥虹
取材日:2008年9月某日

 ダイアナが伊豆半島沖でモグラート1号にエンドニウム爆弾を爆破させて起こした、高さ40メートルもの巨大津波を前にダッシュ7が身構えるシーン(第33話)、東京湾に押し寄せてきた巨大津波をダッシュ7が“真空竜巻の術”で津波を逆流させ押し返すシーン(第34話)などが撮影された。

◯『愛の戦士 レインボーマン』第33話「ダッカー飛行隊 出撃せよ!」あらすじ

 
  ダッカーは宇宙ロケットのスピードとヘリコプターの機能を併せ持つ万能戦闘機だ。そのダッカー編隊により上空から攻撃されたタケシ(演.水谷邦久氏)は、ダッシュ7から5に化身。爆弾を投下された7は辛うじて“念力バリア”で対抗する。ダッカー・パイロットはキャシー(演.高樹蓉子氏)に「レインボーマン殺害を完了した」と報告するが、用心深いキャシーはパイロットに死体確認を命じる。負傷したタケシは山中で少年(演.梶正昭氏)と出会い、ともに下山しようとするが、そこをDAC隊と鉢合わせする。タケシは少年を逃がした後、ダッカーによる夜通しの攻撃で朝まで山中に閉じ込められた。そして今までの術が一切通用しないダッカー機を前に、「身を守るためには新しい武器を身に付けなければならない」と苦悩する。美しい朝日を見てヒマラヤでの修行を思い出した7は、太陽エネルギーを吸収し、剣で増幅した後にサンランプから“太陽フラッシュ”を発射。遂にダッカーを撃墜することに成功した。一方ダイアナ(演.山吹まゆみ氏)は伊豆半島沖でモグラート1号にエンドニウム爆弾を爆破させ、高さ40メートルもの巨大津波を起こそうとしていた。ダイアナの作戦は成功、津波は東京湾に押し寄せようとし、政府は都民に大至急避難を呼びかける。津波情報を聞き、逃げ惑う都民たちのなかに中道親子(演.久野四郎/演.杉野公子氏)の姿もあった。巨大津波を目の前にしたレインボーマンは、はたして東京都民一千万人を救うことができるのか…?

◯『愛の戦士 レインボーマン』第34話「真空竜巻の術」あらすじ


  モグラート1号の起こした津波は、東京都民一千万人の逃げ場を完全に奪った。ダッシュ7(演.水谷邦久氏)は“真空竜巻の術”で津波を逆流させ押し返すと、水面を元に戻した。避難の際父親とはぐれた少女・八重(演.杉野公子氏)は、津波を押し戻す7を見つけ駆け寄るが、そこにはエネルギーを失い倒れるタケシがいるばかりだった。八重の看病で目を覚ましたタケシは、海運仮設事務所近くでヨガの眠りに陥る。八重は避難する人々に「レインボーマンが津波から助けてくれたの」と訴えるが、それを聞きつけたDACがタケシの行方を訊ねる。一方紳士に変装したミスターK(演.平田昭彦氏)は、オルガとともに記者会見現場にいた。「日本は危険な国だ」という世論の真偽を確かめるため、アリシア連邦国のダリンジャー大統領補佐官(演.オスマン・ユセフ氏)が調査委員会代表として来日。Kはダリンジャー氏と警護SP2名(演.所雅樹氏ほか)の写真を確保し、人間複写装置で偽者を造ろうと目論んでいたのだ。「レインボーマンは天使のよう」と言う八重にタケシは和むが、突如背後からDACが襲って来た。八重の面前で化身できないタケシは肉弾戦でDACに挑み苦戦するが、無事父親・中道(演.久野四郎氏)の許へ八重を送り届けた。ダリンジャー氏の身辺に危険が迫っていることを察知したタケシは、宿泊ホテルへ駆けつけるが、ダリンジャー氏は既に伊豆・箱根へ観光に出発していた。日本の美しさに触れたダリンジャー氏は、「日本を貶めようとしている人間がいるのではないか」と考え、真実に迫る決意をする。二人の警護SPを殺害し入れ替わった偽警護SP(DAC)を引き連れ、Kとオルガ(演.藤山律子氏)がダリンジャー氏の前に現れた。しかもKはダリンジャー氏の偽者をも伴っていた。上空から孤立無援のダリンジャー氏を発見した7は、間一髪偽者たちを駆逐すると、バズーカ砲で攻撃してくるDACに対し“念力バリア”でダリンジャー氏を護る…。

◯第三台場(港区台場1-10-1)

 
 臨海副都心にある史跡公園で、現在は「台場公園」として一般に開放されている。ほか、埠頭と接続していない第六台場が残されているが、こちらは公開されておらず上陸不可。
 1853(嘉永6)年、江戸湾海上にペリーの異国船を確認し狼狽した幕府は、江戸城を防備すべく南品川から深川洲崎海岸に7ヶ所の海上砲台を築いた(第四台場は70%、第七台場は海中埋め立てのみで中止された)。海面から5〜7メートルの石垣積の土手に築かれた正方形土塁上に砲台が、土塁の下の横穴に弾薬庫が置かれた。1854(安政元)年4月に、第一・二・三台場が完成、同11月に第五・六台場が完成するが、財政の逼迫に加え、ペリーとの間で日米和親条約が締結されたため、直接海戦で使われることはなかった。その後第二次世界大戦時に、本土防衛のため第三台場に高射砲が設置された。船舶の運行に支障をきたすため、1939(昭和14)年に第四台場が、1961(昭和36)年に第二台場が、1962(昭和37)年に第五台場が、1963(昭和38)年に第一台場が、1965(昭和40)年に第七台場が、それぞれ撤去された。1996(平成8)年、第三台場・第六台場は港区港南五丁目から港区台場一丁目に変更された。

 
 
お台場海浜公園から見た第三台場

お台場海浜公園から見た第三台場。後方にレインボーブリッジと港区内の高層ビル群が確認できる。『レインボーマン』撮影当時、周辺には材木を係留する桟橋や堤防があった。

 

 

レインボーブリッジの後方にある芝浦埠頭。ダッシュ7が巨大津波を前に身構えるシーン、“真空竜巻の術”で津波を逆流させ押し返すシーン、ともに7が東京湾方向を向いている設定。そのため“真空竜巻の術”を繰り出す際に印を結ぶシーンでは、東京湾(芝浦埠頭)とその背景にある東京タワー・貿易センタービルの景色がインサートされている。港区内の高層ビル化やレインボーブリッジの開通によって、撮影当時の面影はかなり薄らいできている。

レインボーブリッジの後方にある芝浦埠頭
 
 

津波を押し返すことに莫大なエネルギーを消費したため、化身を解き倒れるタケシと、それを発見する少女・八重がいた位置。その背景には、品川埠頭の海運倉庫群が見えた。

 
 

島西側土塁上から下を見る。疲労を取り去るため「海運仮設事務所」(撮影当時、第三台場内にあった管理事務所か?)で仮眠するタケシにDACが迫る。しかし用心深いタケシは外部からの死角にあたる事務所の陰で“ヨガの眠り”に入り、九死に一生を得る。『レインボーマン』撮影当時の航空写真で第三台場を見ると、島内に建物らしき白いポイントが確認できる。ここが撮影で使用された建物かどうかは不明。現在調査中。

島西側土塁上から下を見る
 
 
土塁北側よりお台場海浜公園へ続く松林

土塁北側よりお台場海浜公園へ続く松林。DAC小隊長は部下2名にタケシ探索を命じると、この場所からジープに乗って去った。

 
 

土塁(土手)の南側には砲台があった。ヨガの眠りから覚めたタケシは八重と合流。八重はタ ケシに「レインボーマンは背中に羽根が生えた天使よ」と言い、タケシは心癒される。しかしそんな二人の背後からマシンガンを携えた2人のDAC隊員たちが迫る。タケシはDAC隊員に土を投げつけ目つぶし、格闘に持ち込む。当該シーンはこの辺りで撮影された。

土塁(土手)の南側には砲台があった。ヨガの眠りから覚めたタケシは八重と合流。八重はタケシに「レインボーマンは背中に羽根が生えた天使よ」と言い、タケシは心癒される。しかしそんな二人の背後からマシンガンを携えた2人のDAC隊員たちが迫る。タケシはDAC隊員に土を投げつけ目つぶし、格闘に持ち込む。当該シーンはこの辺りで撮影された。
 
 
第三台場の中央

第三台場の中央。中央の窪地には陣屋、土塁(土手)下部の横穴には弾薬庫がある。DACの追跡を振り切り、八重を土手下に匿ったタケシは「レインボーマンが護ってくれるから、ここでじっとしていて」と、八重を励ます。当該シーンは窪地に接する斜面側か、外周の石垣積に接する海上側斜面側のいずれかが使用されたと思われる。

 

島北側の土塁よりお台場方向を望む。『レインボーマン』撮影は、南側と西側の土塁付近使用頻度が高い。化身しようとするタケシだが、レインボーマンを天使と信じる八重の姿を見、化身することに躊躇する。そのためDACから袋叩きの目に遭う。当該シーンは南側と西側の土塁が交わる付近で撮影されたと思われる。

島北側の土塁よりお台場方向を望む
 
土塁北側より日の出埠頭・竹芝埠頭方面を望む その1
土塁北側より日の出埠頭・竹芝埠頭方面を望む その2


土塁北側より日の出埠頭・竹芝埠頭方面を望む。1980年代後半“ゆりかもめ”関連工事に伴い芝浦埠頭は埋め立てられ、『レインボーマン』撮影当時よりその海岸線部分は数十メートルも沖へと伸びた。

◯あとがき

 
 史跡公園でもある第三台場とその周辺が、1970年代の特撮番組のロケで使用されることはそれなりに多かったようで、『仮面ライダー』(2号ライダー編OP、新1号ライダー最終編EDほか)、『仮面ライダーX』(第14話)、『仮面ライダーストロンガー』(第27・38話)、『アクマイザー3』(第13話)などの撮影が行なわれている。劇中映像と現在の景色を比較すると明らかだが、第三台場を取り巻く景色の激変ぶりに驚かされた。
 なお、避難する人々に「レインボーマンが津波から助けてくれたの」と訴える八重に、DACがタケシの行方を訊ねるシーン(第34話)は、国際放映撮影所内での“内撮り”。タケシのパンチ攻撃に吹っ飛ぶDAC隊員、タケシの2度目の化身シーン、ダッシュ7とDACの格闘シーンの一部(ともに第34話)は、多摩丘陵での別撮りとなっている。前者は遠方での撮影が難しい場合など、往々にして行なわれる“撮影効率”重視の方法。後者の“別撮り”は、Aパートの第三台場とBパートの某岬岩礁地帯だけでは絵コンテ通りの画が撮れないと判断した(と思われる)スタッフが、敢えて火薬使用や迫力ある殺陣が可能な多摩丘陵でのシーンをインサートしフィルムを繋げた。これらの効率的な方法が用いられたことで、DACとダッシュ7の格闘シーンは一層の盛り上がりを見せている。