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○こちら特撮情報局 特撮ロケ地巡り |
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○ 第23回 特撮ロケ地レポート 『愛の戦士
レインボーマン』
第9話ロケ地 東京都世田谷区「喫茶ファンタジー用賀店跡」 |
『愛の戦士 レインボーマン』
第9話ロケ地 東京都世田谷区「喫茶ファンタジー用賀店跡」
特派員:奥虹
取材日:2008年6〜7月某日
今回紹介させていただくロケ地は、死ね死ね団女性団員たちのチームワークにより、タケシがキャッツアイ(狂人化薬物)入りジュースを盛られた喫茶店の跡地である。なお、喫茶ファンタジー用賀店跡の位置裏付けについては、有志コロンボ様のご協力を賜りました。コロンボ様のご尽力に心よりお礼を申し上げます。
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◯『愛の戦士
レインボーマン』第9話「タケシを狂わせろ!」あらすじ |
鉄骨の下敷きになったと思われたタケシ(演.水谷邦久氏)だが、間一髪ダッシュ1(月の化身)の“蛇変化の術”で地下道へ脱出していた。その頃堀田(演.黒木進氏
現.小野武彦氏)は「自殺者62名」の新聞記事からタケシの危惧を思い出し、城西署の友人・北村刑事(演.長島寛氏)にコンタクトを取ろうとしていた。タケシが無事脱出したことを知ったダイアナ(演.山吹まゆみ氏)は、女性団員にタケシの尾行を命令。喫茶ファンタジーで堀田・北村刑事と偶然鉢合わせしたタケシだが、
既にダイアナら女性団員たちが店内を固めていた。死ね死ね団の策謀について語るタケシに、北村は「一般の人間を殺すことに利益はない。今のままでは警察は動くわけにはいかない」と協力を拒む。ミスターK(演.平田昭彦氏)はタケシにキャッツアイ入りジュースを飲ませ狂人化させる作戦をダイアナに指示、まんまと薬物入
りジュースを飲み干すタケシを見てダイアナはほくそ笑む。“ファッションショップK”を探し当てたタケシは「妹の下着を買いにきた」と客を装い店に潜入するが、店員に化けた女性団員に軽くあしらわれる。北村刑事と解散して間もなく、タケシにキャッツアイ中毒症状が現れ始めた。奇声を発しながら街中を千鳥足で歩くタケシを見て、堀田は青ざめる。さらに屋上から奇声を発するタケシを見るに至って、彼をともない松尾精神病院へ診察に訪れるが、診察を担当した川島医師(演.松本朝夫氏)は死ね死ね団の手先だった。精密検査を口実に特別病棟にタケシを拘束した川島は、看護婦に扮したダイアナと結託、特殊装置でタケシを完全に狂人化しようと電圧を上げる。「俺の手に日本人の生命がかかっているんだ!」。タケシは強靭な精神力でキャッツアイ症状と必死に戦うが…。
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◯喫茶ファンタジー用賀店跡 |
「喫茶ファンタジー」は、1980年代半ばまで世田谷区用賀2丁目(国道246号線沿い)などで、24時間営業の喫茶・レストランの経営を展開していたチェーン店。店舗は用賀、玉川(玉川高島屋店内)、上野、巣鴨の計4店であった。『レインボーマン』第9話ロケで使用された用賀店は、別名「ドライブイン
ファンタジー」とも称された。『レインボーマン』撮影当時の「喫茶ファンタジー用賀店」周辺には、ガソリンスタンド・中小企業店舗・カフェテラス・モーテル・スーパーマーケット・レストラン・ボーリング場・自動車販売店などが点在していた。現在それらの跡地の多くはマンションになっている。「喫茶ファンタジー用賀店」跡地は、1980年代後半よりおよそ10年間駐車場として活用された後、現在は「日体柔整専門学校・同附属日体接骨院」になっている。
喫茶ファンタジー用賀店は、第9話、死ね死ね団女性団員がタケシを追跡するシーンでロケが行なわれた尾山台商栄会(現.ハッピーロード尾山台)より、直線距離で約3.5キロメートルの位置にあった。また世田谷区砧の国際放映撮影所より直線距離で約3キロメートルの位置にあった。しかも尾山台商栄会と国際放映撮影所のほぼ中間地点にある。生前六鹿英雄監督より「『レインボーマン』は基本台本2冊を同時進行で撮影。8〜10日間で撮る」とのご発言を得たが、撮影効率と距離の問題から鑑みると、おそらく尾山台と用賀でのロケは、同日中に行なわれたのではないかと推察される(※
同第8〜9話は山田健監督の担当。第1〜2クール撮影当時、六鹿英雄氏は助監督。第3クール以降監督に昇進)
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←深沢歩道橋上より、国道246号(用賀インター方面)とネッツトヨタ東京・世田谷店を望む。『レインボーマン』第9話劇中、喫茶ファンタジー2階でタケシがミスターKに酷似した紳士を見つけ、一瞬緊張するシーン、およびダイアナが店内の女性構成員たちに目配せで指令を出すシーン。それらの背景には
、喫茶店の窓から首都高速3号渋谷線の高架が確認できる。
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→ネッツトヨタ東京・世田谷店の後方には、一般の建売住宅が建ち並び、更に後方には今年創立70周年を迎える東京都立桜町高等学校がある。喫茶ファンタジー跡周辺に、『レインボーマン』撮影当時の景色を残す場所は極めて少ない。国道246号線から路地へ入り右側に見える、桜町高校テニスコート(水色の金網辺り)と一般住宅を隔てるブロック塀は、36年前の佇まいを残している。
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←日体柔整専門学校(左)とネッツトヨタ東京・世田谷店(右)を仕切る境界線。境界線の奥に煉瓦跡が連なっていることが確認できる。映像からも明らかだが、煉瓦跡は、当時建物外壁や店先の花壇を煉瓦造りで統一した喫茶ファンタジーの遺物と思われる。
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→喫茶ファンタジー跡に建設された「日体柔整専門学校」を用賀インター方面に望む。当時喫茶ファンタジーであった敷地のうち、裏手(都立桜町高校と隣接する部分)の約三分の一は、現在建売住宅になっている。
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←日体柔整専門学校前から首都高速3号渋谷線の高架を望む。『レインボーマン』第9話では、「女性団員Aが高架を背景に喫茶ファンタジー店舗を仰ぐ」というシーンがある。ちなみに日体柔整専門学校とネッツトヨタ東京・世田谷店に隣接する高架辺りは、首都高速3号渋谷線の退避帯が設けられているため、一車線分余計に横幅がある。
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→喫茶ファンタジー跡に建設された「日体柔整専門学校」を渋谷方面に望む。『レインボーマン』第9話、通りを歩いてタケシは左折して喫茶ファンタジーへ入店する。位置的には、壁面に掲げられた青い学校名看板辺りから、植込みの中央辺りである。
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←ネッツトヨタ東京・世田谷店の東側に隣接する通りにある都立桜町高校のテニスコート。タケシが喫茶ファンタジーに入店する際、背後に微かに映り込んでいた。当時、喫茶ファンタジーと都立桜町高校テニスコートを結ぶライン(現.ネッツトヨタ東京・世田谷店)にあった代々木重機店舗が敷地の隅にあったため、タケシが入店する位置からテニスコートが見えた。現在は低めの金網に張り替えられているが、『レインボーマン』撮影当時は、画像右側に見える蔦が絡まる旧ネットと同様の高さで、敷地の四方が囲まれていた。
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→用賀歩道橋上(首都高速3号渋谷線の高架下)より、喫茶ファンタジー跡に建設された「日体柔整専門学校」を渋谷方面に望む。撮影当時、付近に点在していたガソリンスタンド・カフェテラス・モーテル・スーパーマーケット・レストラン・ボーリング場・などの殆どは、現在マンションに姿を変えている。
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◯あとがき |
今回「喫茶ファンタジー」跡の捜索は、劇中映像から得られるヒント(例:喫茶店の窓から首都高速の高架が確認できる)や「まちBBS(世田谷区)」の情報、そして世田谷区用賀・桜新町住人の方々への聞き込みなどが功を奏した。不躾な質問にもご親切に対応してくださった地域住人の皆さまには、心よりお礼を申し上げたい
。
また今回は思いがけず頼りがいのある助っ人が登場し、大いに助けられた。平素特撮ロケ地レポートをご覧くださっているコロンボ氏である。以前から知人より「喫茶ファンタジーは世田谷を中心にチェーン展開していたらしい」という情報を得ていたが、だとすれば、複数ある店舗のうち、第9話の撮影に使われた店舗はどこか?…という疑問が頭をもたげてくる。丁度メールでロケ地について情報交換させていただいていたコロンボ氏に、その話題を振ったところ、快く国会図書館で“喫茶ファンタジー”全店舗の位置を確認してくださった。心強い援軍・コロンボ氏の確認作業によって、遂にロケ地となった店舗を特定することができた。多くの方々のお力添えがあってこそのロケ地探索であることを、今回改めて痛感させられた。
末筆ながらコロンボ様には重ねてお礼を申し上げます。
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