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○こちら特撮情報局 特撮ロケ地巡り |
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○ 第20回 特撮ロケ地レポート 『愛の戦士
レインボーマン』
第1・2・8・16・36・41話ほかロケ地 東京都狛江市「五本松河原」 |
『愛の戦士 レインボーマン』
第1・2・8・16・36・41話ほかロケ地 東京都狛江市「五本松河原」
特派員:奥虹
取材日:2008年3〜4月某日
今回紹介させていただくロケ地は、高校時代のタケシの自主特訓シーン(第1話)、堀田から「(タケシは)必ず君の脚を治すために日本へ帰ってくる」と励まされたみゆきが、独り河原に立ち「脚なんて治らなくてもいいから、早く帰ってきて」と涙ぐむシーン(第2話)、アイパッチ攻撃で目を潰されたダッシュ7が五本松の松に寄りかかりながら、よろめいて逃げるシーン(第8話)、人間ポンプ・ガルマとダッシュ7の戦闘シーン(第16話)、タケシが淑江の誕生日祝いとしてブローチを渡すシーン(第36話)、対サイボーグ・キャシー戦、対ゴッドイグアナ戦(共に第41話)などの撮影で使用された。
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◯『愛の戦士
レインボーマン』第1話「奇蹟の聖者」あらすじ |
印パ戦争の痛ましい戦場に“下町の黒豹”と呼ばれたヤマトタケシ(演.水谷邦久氏)の姿があった。聖人ダイバ・ダッタ(演.井上昭文氏)に会うため日本からインドへやって来たのだ。クリシュナガール国境からヒマラヤ麓へ行こうとするタケシは、はずみからインド兵をぶちのめしジープを奪う。[以下回想シーン/東京都
高校レスリング大会。城東高校代表として決勝戦に挑んだタケシは、“必殺回転おとし”で対戦相手を再起不能にする。レスリング部主将(演.倉田始氏)から除名されたタケシは、国際プロレスラーを目指す。砧給油所を訪れたタケシに先輩の堀田(演.黒木進氏
現.小野武彦氏)は、「インドにダイバ・ダッタという超能力者がいる。世界で唯一奇蹟をおこない、七つの能力を持つ超人に変身する人物」と語る。幼少期に交通事故で妹・みゆき(演.石川えり子氏)の左脚を麻痺させてしまったタケシは、治療費を稼ぐためダイバ・ダッタに弟子入りし国際プロレスラーの“剛力”を手に入れようと考えたのだ。明日インドへ旅立つタケシは、河原でみゆきを背負うと「必ず脚を治してやる」と心に誓う。母・たみ(演.本山可久子氏)もそんなタケシを黙って励ます…]
ゲリラと間違われたタケシは、パキスタン兵に腹部を撃たれ死線を彷徨う。その時空中から現れた聖人ダイバ・ダッタは、蘇生の術で重症のタケシを治す。まもなく寿命が尽きようとしていたダイバは、「東方から若い男が訪ねてくる」という仏のお告げを聴いていた。タケシが自分の後継者になる男かも知れないと直感したダイバは、「修行したければ山頂までついて来い」と誘う。険しい崖を荒々しく素手で登るタケシ。その時空中に浮かぶ神々しいレインボーマンの姿を見つけたダイバは、タケシこそが未来のレインボーマンであることを確信する…。
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◯『愛の戦士
レインボーマン』第16話「殺人プロ ガルマの復讐」あらすじ |
アフリカからやって来た殺人プロフェッショナル第2号、人間ポンプ・ガルマは、ガルマ・ファイヤー(高熱の火炎)とガルマ・ブルー(溶解液)でダッシュ7(演.水谷邦久氏)を翻弄していた。マー坊(演.梶浩昭氏)を誘拐した死ね死ね団は、精密な製版技術をもつ祖父・松前源吉(演.木田三千雄氏)に偽札の版下を造るよう強要する。7はガルマの妨害に遭うも、倉庫に監禁されていたマー坊を救出することに成功。ガルマは“不動金縛りの術”を魔女・イグアナ(演.塩沢とき氏)に解いてもらうと、改めてレインボーマン抹殺を誓う。その夜、レインボーマンに救助されたマー坊は、タケシにおぶられて淑江(演.伊藤めぐみ氏)たちが待つ“どんぐり園”に保護された。迎える祖母と正造(演.村田正雄氏)を前に、源吉に会ったことを無邪気に伝えるマー坊に、タケシは必ず源吉を救い出すことを一同に約束する。久方ぶりのデートを楽しむタケシは、淑江から「マー坊の祖母が御多福会江東支部に出入りしている」ことを聴く。早速江東支部へ偵察に出かけたタケシだが、御多福会幹部にその姿を見られてしまう。良心の呵責から、偽札版下を前に自分の手を潰そうとする源吉。死ね死ね団員たちは、源吉宅で遊ぶマー坊の姿を源吉に見せ、いつでもマー坊の生命を奪う用意があるとして、改めて偽札づくりを強要する。一方、ヤマト一郎の新聞社時代の友人・平(演.松尾文人氏)は、ミスターK(演.平田昭彦氏)の拷問に耐えマイクロ・フィルムの在処を白状しないでいた。Kはイグアナに命令し、妖術で平の体内に爆弾を仕掛けさせ、タケシ諸共爆死させる作戦に出た。“人間爆弾”にされたうえ、催眠術をかけられタケシの前に姿を現した平だが、タケシと会ったショックから正気に戻り、独り自爆して果てた。タケシに“M作戦”を気づかれたことを察したKは、御多福会江東支部の責任者を死刑に処し、さらに支部の証拠隠滅を命じる。江東支部に潜入したタケシは7に化身するが、雪辱に燃えるガルマが既に待ち構えていた。戦いの場を五本松河原に移した両者。7はガルマ・ファイヤーを“バリア”で阻止するが、ガルマ・ブルーで攻撃される。7は死ね死ね団員が放ったボウガンの矢をキャッチし、ガルマの胸に投げつけた。体内ポンプを破壊されたガルマは、断末魔をあげると松樹に突き刺さったまま白骨化した。偽札づくりの証拠を積んだトラックを追いかけるタケシは、荷台の上によじ登るが、それに気づいたKはトラックを爆破させた…。
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◯『愛の戦士
レインボーマン』第41話「サイボーグ1号との戦い」あらすじ |
サイボーグ・キャシー(演.高樹蓉子氏)の屈強な鋼のボディには、“太陽の剣”でさえ跳ね返されてしまう。ダッシュ7は鋼のキャシーのアイビームの威力に追い詰められる。その時、上空から魔女イグアナ(演.塩沢とき氏)の母・ゴッドイグアナ(演.曽我町子氏)が、サイボーグ・キャシーを攻撃、7を魔界ゾーンに捕縛した。ゴッドイグアナは娘・イグアナを復活させるため、7の生き血を得ようとしていたのだ。フェンシングの剣で7の“太陽の剣”を圧倒し、さらに毒グモで攻撃。絶体絶命のなかサンランプが輝き、太陽光を苦手とするゴッドイグアナは撤退、エネルギーを使い果たした7は“ヨガの眠り”に陥る。サイボーグ・キャシーは対レ
インボーマン戦をオルガ(演.藤山律子氏)に報告、DAC隊員で組織されたレインボーマン捜索隊出動を依頼。しかしDACはヨガの眠りに陥ったタケシを発見出来ないまま帰還。激昂したサイボーグ・キャシーは机を破壊、サイボーグ化された自分の肉体を嘆き、オイルの涙を流す。ヨガの眠りから目覚めたタケシは7に化身するとDAC隊を一掃した。早朝、疲労困憊のまま団地をとぼとぼと歩くタケシに、牛乳配達を始めたヤッパの鉄(演.山崎純資氏)が声をかけた。鉄はタケシの腕の怪我を手当てすると、「不景気は死ね死ね団のせい。レインボーマンには頑張ってもらいたい」と訴える。朝食支度中のヤマト家をゴッドイグアナが急襲した。レインボーマンの妹・みゆき(演.石川えり子氏)の生き血を奪おうというのだ。母・たみ(演.本山可久子氏)も懸命に娘を護ろうとする。床に落ちた手鏡に反射した太陽光を浴びたゴッドイグアナは、堪らず退散する。駆けつけたタケシは、家族まで巻き添えにしようとする魔女に怒りをあらわにする。一方オルガとサイボーグ・キャシーは、みゆきを人質にしたと偽り、レインボーマンを誘き出そうとする。まずオルガはサイボーグ奴隷部隊に東亜銀行ほか三行を襲わせ、
現金を強奪。ニュースを知り飛び出したタケシに、「妹を取り戻しに戦場ヶ原へ来い」と誘導する。しかしそこにはサイボーグ・キャシーらが待ち構えていた。ナイフやフット・マシンガン、殺人光線アイビームで7を次第に追い詰める。オルガも加勢するが、“太陽フラッシュ”を左腕に浴びたサイボーグ・キャシーの傷は思いのほか深く、キャシーは回収ロケットで帰還、オルガもバイクで逃走する。その間隙を縫ってゴッドイグアナが7を急襲。7は杖で左腕を貫かれてしまう…。
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◯五本松河原 |
狛江市・調布市のほぼ境に位置する松林。台風などで倒れ、現在は11本ほどが残る。もともと多摩川の堤防を補強する水害防備林の一部が、今日まで残ったものといわれる。『レインボーマン』劇中映像でも明らかだが、撮影当時、多摩川の水面は現在より高かった。その後河床の低下や護岸改修の影響で、現在は河岸の斜度がきつくなっている。「多摩川堤防決壊記録」(発行:狛江市役所)に「1974年9月1日
増水する多摩川を見守る市民」と題した一葉がある。五本松河原の土手が水没し、松の根元にまで水嵩がきている様子から、当時尋常ではない規模の増水であったことが窺える。1974年、五本松河原に隣接する上流の根川水門地先に堤防が完成。五本松河原周辺は水衝部にあたり、もともと危険区間であったため、何度も護岸改修工事が実施されている。近年では2005年に護岸改修工事が実施されたが、そのため多摩川と奥多摩連山とのロケーションが見栄えしなくなった…との声もある。
五本松河原は時代劇のほか、『帰ってきたウルトラマン』第27話、『ウルトラマンタロウ』第2話、『ウルトラマンレオ』第6・7・15・16話、『人造人間キカイダー』第4・14話、『少年探偵団(BD7)』(1975年
日本現代企画)などの撮影にも使用されている。
城東高校レスリング部を除名されたタケシは、プロレスのリングに上がるため自主トレーニングを開始。タケシは五本松河原で、うさぎ跳び・縄跳び・キック・タックルの練習に勤しむ(第1話)。ヤマト家を訪れた堀田から「(タケシは)必ず君の脚を治すために日本へ帰ってくる」と励まされたみゆきは、独り河原に立ち「脚なんて治らなくてもいいから、早く帰ってきて」と涙ぐむ(第2話)。死ね死ね団員のアイパッチ攻撃で目を潰されたダッシュ7は、五本松の松に寄りかかりながら、よろめいて逃げる。そしてダッシュ6に化身すると“疾風土煙花の術”で地中に逃れる(第8話)。ダッシュ7はガルマ・ファイヤーを“バリア”で阻止するが、ガルマ・ブルーで攻撃される。7が死ね死ね団員が放ったボウガンの矢をキャッチし、ガルマの胸に投げつけると、体内ポンプを破壊されたガルマは、断末魔をあげると松樹に突き刺さったまま白骨化した(以上第16話)。“ヨガの眠り”から目覚めたタケシは淑江とのデートで誕生日祝いとしてブローチを渡す(第36話)。「妹をさらったので助けに来い」というオルガの罠に敢えて乗ったタケシは、戦場ヶ原(五本松河原)へと向かう。そこに待ち受けていたのはオルガとサイボーグ・キャシーだった。激しい戦闘の末、左腕を負傷し惨敗したサイボーグ・キャシーを回収するためロケットが着陸した。サイボーグ・キャシーに辛勝したダッシュ7をゴッドイグアナが急襲した(以上第41話)。
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←五本松を下流に向かって望む。土手を境界として東(左)側が調布市、西(右)側が狛江市になる。画像向かって左側に、調布市が管理する西河原公園がある。また遠方には多摩水道橋が確認できる。
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→城東高校レスリング部を除名されたタケシは、プロレスのリングに上がるため自主トレーニングを開始。タケシは五本松河原で、うさぎ跳び・縄跳び・キック・タックルの練習に勤しむ(第1話)。
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←死ね死ね団員のアイパッチ攻撃で目を潰されたダッシュ7は、五本松の松に寄りかかりながら、よろめいて逃げる(第8話)。
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→体内ポンプを破壊されたガルマは、断末魔をあげると松樹に突き刺さったまま白骨化した(第16話)。白骨化したガルマのプロッブがセットされたのは、画像右から2本目の松だと思われる。
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←河原より西河原公園方向を望む。画像左のスペースでは、ダッシュ7とサイボーグ・キャシーの戦闘シーン、左腕を負傷し惨敗したサイボーグ・キャシーを回収するためロケットが着陸したシーン(共に第41話)などが撮影されている。
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→五本松を多摩川上流方向に望む。画像右のスペースでは、ダッシュ7とサイボーグ・キャシーの戦闘シーン、左腕を負傷し惨敗したサイボーグ・キャシーを回収するためロケットが着陸したシーン(共に第41話)などが撮影されている。
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←多摩川住宅が隣接する辺りを上流に望む。樹木の間隙からは、『ウルトラセブン』などでもお馴染みの、多摩住宅の給水塔が確認できる。この辺りでは、サイボーグ・キャシーに辛勝したダッシュ7をゴッドイグアナが急襲するシーン(第41話)などが撮影された。DVD『レインボーマン』“サイボーグ作戦編”解説書表紙に、ダッシュ7とゴッド・イグアナの戦闘シーンのスチールが使用されている。スチールと本画像の水際を比較していただければ明白だが、近年施行された護岸工事により、水際がかなり後退していることが解る。
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◯あとがき |
当サイトが平素大変お世話になっている長沢大氏(ドクター・ボーグ役)が、ゲスト出演された作品のひとつに『スーパーロボット
マッハバロン』がある。第10話「まぼろしのジャイアントバロン」(1974年12月9日放送)にKSS隊員・小田切チーフ役でご出演、五本松河原ちかくの護岸ブロックに立つ…というシーンがある。その護岸ブロックに、流木や木の枝がぎっしりと絡み付いているのが確認できる。当該エピソード放送日から遡ること3ヶ月前の9月1日、撮影が行なわれた多摩川周辺は、台風16号により複数の堤防が決壊し、記録的な水害に見舞われている。おそらく『マッハバロン』第10話が撮影されたのは、この水害の直後だったと思われる。
同『マッハバロン』エンディング映像では、下塚誠氏や加藤寿氏ら番組出演者が、多摩川河川内に構成された“中洲”を駆けるシーンがスローモーションで幻想的に撮影されている。エンディング撮影からまもなく、台風16号の影響で、くだんの中洲はおそらく濁流とともにその姿を消してしまったのだろう。
エンディング曲「眠れマッハバロン」(作詞:阿久悠 作曲・編曲:井上忠夫 歌:すぎうらよしひろ)の哀愁を帯びた美しい旋律と相まって、KSS隊員らがススキ原の中を往くシーンは、34年の歳月を経た現在でも心を揺さぶる。
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