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○こちら特撮情報局 特撮ロケ地巡り
 
 第36回 特撮ロケ地レポート 『愛の戦士 レインボーマン』
第8・34・40・49話ほかロケ地 東京都新宿区「京王プラザホテル」


第36回 特撮ロケ地レポート 『愛の戦士 レインボーマン』
第8・34・40・49話ほかロケ地 東京都新宿区「京王プラザホテル」

特派員:奥虹
取材日:2008年8月某日

 今回紹介させていただくのは、「死ね死ね団アジト」として、全編を通じて使用された、西新宿にあるシティホテルである。西口中央公園から観た「京王プラザホテル全景」のバンクフィルムが使用されている。アリシア連邦国のダリンジャー大統領補佐官の宿泊ホテルとして外観のみ映る(第34話)。ミスターKはアジトに女性幹部4人を招集し、サイボーグ作戦とダイヤモンド強奪作戦を指示する(第40話)。

◯『愛の戦士 レインボーマン』第40話「ダイヤモンド略奪作戦」あらすじ

 
 仲睦まじく商店街を歩くタケシ・みゆき・淑江。しかしタケシ(演.水谷邦久氏)は「ミスターKを倒さないかぎり平和は取り戻せないんだ」と、心中悲壮な想いを抱いていた。その頃ミスターK(演.平田昭彦氏)は西新宿のアジトに女性幹部4人を招集。いよいよ実力行使作戦へ変更し、死ね死ね団として堂々と日本人に宣戦布告する旨を伝える。そしてダイアナ(演.山吹まゆみ氏)・キャシー(演.高樹蓉子氏)・ロリータ(演.高樹蓉子氏)にはアフリカ秘密基地でレインボーマン打倒のための訓練を、オルガ(演.藤山律子氏)には残留部隊の指揮を命じた。ドクター・ボーグ(演.長沢大氏)の改造実験の被験者となったキャシーは電流による激しい痛みに悲鳴をあげ、ダイアナとロリータも恐れおののく。同刻、オルガには死ね死ね団軍資金として時価80億円のダイヤモンド強奪作戦が命じられていた。デートを楽しむタケシ・淑江(演.伊藤めぐみ氏)の頭上を往くヘリコプターから"ダイヤ強奪予告状"が大量に降ってきた。予告したうえで犯行に及ぼうとする大胆不敵なミスターKの高笑い、そして謎の女の不気味な笑いは就寝中のタケシをも苦しめる。不気味な女の正体はゴッドイグアナ(演.曽我町子氏)。殺人プロフェッショナルを束ねていた魔女イグアナの実母であり、彼女はレインボーマンの生き血を欲していた。ダッシュ7は80億円のダイヤモンドを運搬する船舶を上空から見張る。しかし船内では船員に化けたDAC隊員がアタッシュケースに発信機を仕掛けていた。モーターボートで陸揚げされたダイヤは警察の厳重なガードによって運搬されるが、オルガがバイクで尾行。村道でDACの襲撃を受けた警官隊は全滅、駆けつけた7が"太陽の剣"でDACを駆逐するが、時既に遅くダイヤモンド入りのアタッシュケースは、オルガによりミスターKの許に届けられていた。苦渋に満ちた表情のダッシュ7の目前に、突如サイボーグ・キャシーが出現した。投げナイフ・フットマシンガン・アイビームの連続技に圧倒され、さしもの7もダウンする。しかも上空からは魔女ゴッドイグアナが7を狙っていた…。

◯『愛の戦士 レインボーマン』第49話「燃えろ 大勝負!」あらすじ

 
  オルガら四大幹部を葬ったレインボーマン(演.水谷邦久氏)は、「彼女たちもミスターK(演.平田昭彦氏)の野望の犠牲者である」と悼む。寵愛するオルガを失ったミスターKは怒りをあらわにし、DAC隊にレインボーマン殲滅の命令を下す。河原を歩くタケシを発見したDAC隊はマシンガン・ナイフ・手榴弾でタケシを攻撃。ダッシュ7に化身したタケシは"遠当ての術"で対抗するが、多勢に無勢で苦戦する。7は一旦空中に逃れるが、マグネット・チェーンを撃たれ、雁字がらめのまま地上に墜ちる。"太陽の剣"で反撃する7に対し、参戦したマスクドKが放った電流ロープと鞭が圧倒、とうとう7は拘束される。「日本人は目先の利益しか考えない。そんな奴らを護る価値がどこにある?」と問うKに対し、7は「人間の真心を信じる」と答える。その様子を上空から発見したゴッドイグアナ(演.曽我町子氏)は、7を魔界ゾーンに拘束。困惑するKはゴッドイグアナに共闘を持ちかけるが、ゴッドイグアナは「(Kは)娘・イグアナの仇の片割れだ」となじり共闘を拒否、あまつさえDACを催眠術で翻弄したまま魔界ゾーンに帰還する。拘束していた7を矢で攻撃するゴッドイグアナ。7はダッシュ5(黄金の化身)に化身すると、"黄金フラッシュ"の太陽エネルギーでゴッドイグアナを本来の姿(老婆)に戻し、その隙に河原へ帰還する。5は"黄金フラッシュ"でKとDACを翻弄すると、7で肉弾戦を展開。圧され気味のKはDACを残し、背中にロケットを背負いアジトまで逃亡、7もそれを追った。アジトでKを待っていたのは、死ね死ね団アフリカ基地から派遣された、ブードゥー魔術を駆使する魔術師・ドクロマンであった。「魔術により蝿へと姿を変え、換気口からアジトへ入り込んだ」というドクロマンの実力に懐疑的なKだが、"透視の術"でゴッドイグアナの隠れ処を探し当てたドクロマンに、ゴッドイグアナ討伐を命じる。一方7はヨガの眠りに襲われ草むらで石化、追跡していたDACがそれを発見しKに報告する。ゴッドイグアナを隠れ処の瓢箪から追い出そうとするドクロマンだが、ゴッドイグアナはそれを全く相手にせずに、タケシの処刑場所へと移動。再びタケシを魔界ゾーンに拘束した。それを追ってきたドクロマンとゴッドイグアナが衝突、両者の実力は伯仲していた。一方タケシは7に化身し魔界ゾーンを脱出、Kと相対する。

◯京王プラザホテル(新宿区西新宿2-2-1)

 
 淀橋浄水場の再開発により生まれた新宿の超高層ビル群の先駆け的存在であるとともに、日本初の超高層ホテル。1971年6月5日に本館が開業した。高さは本館・南館(1980年11月完成)それぞれ178メートルと138メートル。客室総数1450の巨艦ホテルである。
 "モグラート作戦""サイボーグ作戦"における「死ね死ね団アジト」として使用される。最上階47階がミスターKの司令室で、入室にはKのペンダントから発せられる特殊な透過光線が必要とされる。『レインボーマン』では新宿中央公園側から観た「京王プラザホテル全景」のフィルムが多く使用されている。タケシは孤独な戦いを周囲から理解されない孤立感を噛みしめるが、ホテルの屋上辺りから虹色の玉となって出現したダイバダッタ(実体がない魂)の言葉に救われる(第8話)。アリシア連邦国のダリンジャー大統領補佐官の宿泊ホテルとして外観のみ映る(第34話)。ミスターKはアジトに女性幹部4人を招集し、サイボーグ作戦とダイヤモンド強奪作戦を指示する(第40話)。
 第8話、孤独な戦いを周囲から理解されない孤立感を噛みしめるタケシを叱咤激励するため、現れたダイバダッタ(の魂)。その魂は虹色の玉となって、京王プラザホテル屋上辺りから現れる。その撮影はアングル的に、東京都庁と新宿中央公園を結ぶ"虹の橋"辺りだと思われる。第34話の風景は、アングル的に現在のNSビル付近から撮ったものと思われ、その左隣には当時建設途中だった三井ビルも映り込んでいる。

京王プラザホテル その1
京王プラザホテル その2


↑中央通りからホテルを仰ぎ見る。『ミラーマン』(1971年放送)某エピソードでは、完成したばかりの京王プラザホテルや富士山を小田急デパート屋上から観るアングルがある。今回同じアングルから撮影を試みたが、現在では多くのビル群に阻まれ、全景を写すことは出来なかった。

新宿中央公園と都庁庁舎を結ぶ"虹の橋"あたりから見た京王プラザホテル。『レインボーマン』では新宿中央公園側から観た「京王プラザホテル全景」のバンクフィルムが多く使用されているが、それはこの付近で撮影されたものと思われる。

京王プラザホテル その3
 
京王プラザホテル その4

新宿中央公園と都庁庁舎を結ぶ"緑の橋"あたりから見た京王プラザホテル。この辺りは初期戦隊シリーズや1970年代のウルトラシリーズでも、使用頻度が高い。

 
◯あとがき


 京王プラザホテルさんは、都合3度利用させていただいたことがあるが、こうしてロケ地探訪に際して映像で再確認してみると、妙に感慨深いものがある。『ワイルド7』(『レインボーマン』と同時期に国際放映で撮影)で、草波隊長役を好演された川津祐介氏が、不定期に同ホテルギャラリーで個展を開催していらっしゃるので、興味のある方はぜひご覧いただきたいと思う。
 余談だが、今回は『レインボーマン』の菓子関係のマーチャンダイジングについて触れてみたい。『レインボーマン』のマーチャンダイズの仕切りは、広告代理店の萬年社で、衛藤公彦プロデューサー(1923〜2003年)が行なっていらした。1972年、新橋の第一ホテルで行なわれた番組説明会では、様々な企業がスポンサーとして手を挙げたが、菓子メーカーでは"ロッテ"と"シスコ"(シスコーンでお馴染み。現.日清シスコ)が契約、『レインボーマン』関係の菓子を発売している。
 とりわけ"ロッテ"では、フーセンガム(1972年11月発売。3枚入り10円売り)・ボンボンバブルガム(楕円に形成されたガムを水飴でコーティングした商品)・キャラメル(ダッシュ1と7のおまけ入り)などを発売。併せて販売促進の"菓子まつり"キャンペーンでは、ノベルティグッズとして"レインボーマン・マント"や、大判およびミニサイズの"レインボーマン・ブロマイド"がプレゼントされた。前者はビニール製で、白地にダッシュ7の全身イラストが印刷されたもの。意匠の下部には「ロッテ レインボーマン」の文字がある。当時のちびっ子たちの"レインボーマンごっこ"には必須の逸品だったことだろう。後者はおそらく、当時一大ブームを巻き起こした、カルビー発売の「仮面ライダースナック」のおまけカードに刺激されて企画されたものであろう。大判カードは縦25.0×横17.3センチメートルで、七化身勢揃いの図や化身単体の図など、撮影会のスチールが使用された(図版の隅には"レインボーマン ロッテ"の金箔押しあり)。またミニカードの図版は大判カードと同じく撮影会スチールで、裏面の解説文は『レインボーマン』番組企画書の文章が引用されている。
 "シスコ"(現.日清シスコ)では、キャラクターボックス形式の菓子で、手提げタイプの紙箱にダッシュ7(イラスト)のお面が印刷されており、それをハサミで切り離して"レインボーマンごっこ"に活用できる…という画期的なものであった。箱のなかにはシスコの菓子と"レインボーマン・ブロマイド"が封入されていた。これも"ロッテ"版ミニカードと同じく、表面は撮影会スチール、裏面の解説文は『レインボーマン』番組企画書の文章が引用記載されていた。同タイプの商品には、萬年社がプロデュースしていた実写版『ワイルド7』のものもあり、主人公・飛葉の顔がイラスト処理されたものがお面になっていた(『ワイルド7』ブロマイドの体裁も、『レインボーマン』のそれと同様)。
 同種のものでは、当時駄菓子屋などで発売されていた"レインボーマン・ブロマイド"や"ワイルド7・ブロマイド"(天田印刷加工製。1袋2枚入り10円)がある。表面・裏面の体裁は前述のロッテ製・シスコ製カードと変わらない。一定割合で封入されたラッキーカードと引き換えで、プラスチック製のトランプケース型のアルバムや大判カードが入手できた。これらは現在でもネットオークションに出品されているので、興味のある方は入札されてみてはいかがだろうか。