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○こちら特撮情報局 特撮ロケ地巡り |
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○ 第26回 特撮ロケ地レポート
『愛の戦士 レインボーマン』 第33〜35・37・38・40話ほかロケ地 東京都世田谷区「世田谷通り砧商店街」 |
『愛の戦士 レインボーマン』
第33〜35・37・38・40話ほかロケ地 東京都世田谷区「世田谷通り砧商店街」
特派員:奥虹
取材日:2008年3〜4・6月某日
今回紹介させていただくロケ地は、東宝撮影所・国際放映撮影所から程近い商店街である。ヤッパの鉄が偽者黒木の誤解から特殊火薬運搬の日時・場所を告げられるシーン(第35話)、タケシ・淑江・みゆきが食事に関して微笑ましい会話を交わしながら散歩するシーン(第40話)などが撮影されている。
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◯『愛の戦士
レインボーマン』第35話「姿なき黒い手」あらすじ |
DACの魔手から救われたアリシア連邦国・ダリンジャー大統領補佐官(演.オスマン・ユセフ氏)は、ダッシュ7(演.水谷邦久氏)に「『日本は危険な国ではない』というレインボーマンを信じる」と語る。かくして死ね死ね団の要人暗殺による日本孤立化作戦は失敗をみた。その頃オルガ(演.藤山律子氏)はDAC訓練を指導中のロリータ(演.皆川妙子氏)のもとを訪れ、「Xゾーン破壊作戦に必要な特殊火薬を隠密に運搬する」というミスターKの作戦を伝えていた。人間複写装置を用いDAC隊員をヤクザ・黒木(演.山口譲氏)と生き写しに変え、怪しまれず特殊火薬を運搬しようというのだ。恋人・淑江(演.伊藤めぐみ氏)と“どんぐり園”で昼休みを楽しんでいたタケシは、「火薬工場爆破事故は何者かが故意に火薬を爆発させた可能性あり」と報じるラジオニュースを聞き、地底戦車・モグラートの影を感じ取り、園を飛び出した。そしてダッシュ6に化身し火薬工場地下を探索した結果、モグラートが火薬を運び出した痕跡を発見する。勤めを終えた淑江を待ち伏せていたタケシは淑江に詫び、明日の淑江の誕生日には必ずデートをすると約束する。さらに帰り道、ヤッパの鉄(演.山崎純資氏)に出会ったタケシは、鉄から「自分と瓜二つの人間が悪事を働いている」という信じ難い話から、死ね死ね団の策謀を察知する。DACが化けた黒木と鉄に接近したタケシだが突然斬りつけられ、偽者たちも逃走した。ダッカー戦闘機によるダム爆破など、事態は益々悪化の一途を辿っていた。そんな折、偽者黒木の誤解から特殊火薬運搬の日時・場所を告げられた(本物の)鉄は、事件をタケシに知らせるため“どんぐり園”を訪ね淑江に伝言を依頼する。デートをすっぽかされ拗ねた淑江は、鉄からの伝言をタケシに伝えることを躊躇していた。「レインボーマンは宇宙から来たスーパーマンではない。ロボットでもサイボーグでもない。人間なんだ。俺も一緒に戦わなくてはならない!」と真摯に語るタケシに対し、淑江も澄んだ瞳で真実を伝える。火薬積込みのため第四埠頭へやって来た偽黒木たちを追い、7が到着。ヤッパの鉄も共に戦う。その戦いを静観していたオルガ・ロリータは、鬼神にも似たレインボーマンの圧倒的な強さを観て一旦退却した。火薬倉庫は大爆発を起こし、死ね死ね団の作戦はまたも潰えるのだった。
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◯『愛の戦士
レインボーマン』第37話「Xゾーン破壊命令!!」あらすじ |
東南アジアとヨーロッパ調査団が搭乗した飛行機が撃墜された。死ね死ね団戦闘機・ダッカーの仕業だ。アリシア連邦国飛行機が次の標的にされたが、ダッシュ7は“太陽フラッシュ”でダッカーを撃墜せしめた。ミスターK(演.平田昭彦氏)はダッカー飛行隊責任者・キャシー(演.高樹蓉子氏)に撤退を認め、ダイアナ(演.山吹まゆみ氏)には“Xゾーン作戦”用の火薬調達を命令したが、苛立ちの収まらないキャシーは、レインボーマン暗殺を失敗したオルガ(演.藤山律子氏)・ロリータ(演.皆川妙子氏)を責め挑発する。その頃タケシ(演.水谷邦久氏)はひとり商店街を徘徊していた。DACが日本人に変装し暗躍している現状を憂い、通りかかった淑江(演.伊藤めぐみ氏)にすらオルガ(偽淑江)の姿を重ね怯えていたのだ。そんなタケシに淑江は「タケシさんはもっと強い人だったはず」と、励ますしか術がなかった。二人を尾行していたオルガは、公園で語り合うタケシ・淑江を消音銃で狙う。タケシは銃の標的を自分へと巧みに誘導すると一瞬の隙を突き7に化身、オルガにキックを喰らわせ退散させた。タケシは「信じられる女性(ひと)と少しでも永くいたい」と気持ちを吐露、淑江も笑顔でうなずいた。その頃ロリータは人間複写装置でDAC隊員をレインボーマン化し、本物と戦わせようと目論むが失敗。オルガ・ロリータのコンビでタケシ抹殺を遂行することを再確認する。翌朝、公園を歩くタケシをオルガ・ロリータがバイクと銃で急襲、攻撃をかわすタケシに巻き込まれ、10人以上の通行人が巻き添えで死亡した。タケシは残虐な死ね死ね団への怒りを新たにする。一方ミスターKは広島型原爆と同等の破壊力をもつ“スーパーニトロン”を用いた“Xゾーン作戦”を着々と進行させていた。多量の石鹸・石炭を原材料とするスーパーニトロンのため、ダイアナには石鹸の買い占めを、キャシーには石炭発掘のための人員確保を命じる。経済恐慌のなか、破格の支度金での炭坑夫募集に人々は殺到、そのなかにヤッパの鉄(演.山崎純資氏)の姿もあった。淑江を誘拐しタケシを爆破地点まで誘導しようと目論むオルガ・ロリータだが、肝心の脅迫状を“どんぐり園”の前に落とし、誘拐も未遂に終わる。巡り巡って鉄から脅迫状を入手したタケシは、罠と知りながら7に化身し猫岳山頂へ向かう。しかしオルガ・ロリータが空を往くレインボーマンを銃で狙っていた…。
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◯『愛の戦士
レインボーマン』第40話「ダイヤモンド略奪作戦」あらすじ |
仲睦まじく商店街を歩くタケシ・みゆき・淑江。しかしタケシ(演.水谷邦久氏)は「ミスターKを倒さないかぎり平和は取り戻せないんだ」と、心中悲壮な想いを抱いていた。その頃ミスターK(演.平田昭彦氏)は西新宿のアジトに女性幹部4人を招集。いよいよ実力行使作戦へ変更し、死ね死ね団として堂々と日本人に宣戦布告する旨を伝える。そしてダイアナ(演.山吹まゆみ氏)・キャシー(演.高樹蓉子氏)・ロリータ(演.高樹蓉子氏)にはアフリカ秘密基地でレインボーマン打倒のための訓練を、オルガ(演.藤山律子氏)には残留部隊の指揮を命じた。ドクター・ボーグ(演.長沢大氏)の改造実験の被験者となったキャシーは電流による激しい痛みに悲鳴をあげ、ダイアナとロリータも恐れおののく。同刻、オルガには死ね死ね団軍資金として時価80億円のダイヤモンド強奪作戦が命じられていた。デートを楽しむタケシ・淑江(演.伊藤めぐみ氏)の頭上を往くヘリコプターから“ダイヤ強奪予告状”が大量に降ってきた。予告したうえで犯行に及ぼうとする大胆不敵なミスターKの高笑い、そして謎の女の不気味な笑いは就寝中のタケシをも苦しめる。不気味な女の正体はゴッドイグアナ(演.曽我町子氏)。殺人プロフェッショナルを束ねていた魔女イグアナの実母であり、彼女はレインボーマンの生き血を欲していた。ダッシュ7は80億円のダイヤモンドを運搬する船舶を上空から見張る。しかし船内では船員に化けたDAC隊員がアタッシュケースに発信機を仕掛けていた。モーターボートで陸揚げされたダイヤは警察の厳重なガードによって運搬されるが、オルガがバイクで尾行。村道でDACの襲撃を受けた警官隊は全滅、駆けつけた7が“太陽の剣”でDACを駆逐するが、時既に遅くダイヤモンド入りのアタッシュケースは、オルガによりミスターKの許に届けられていた。苦渋に満ちた表情の7の目前に、突如サイボーグ・キャシーが出現した。投げナイフ・フットマシンガン・アイビームの連続技に圧倒され、さしもの7もダウンする。しかも上空からは魔女ゴッドイグアナが7を狙っていた…。
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◯世田谷通り砧商店街振興組合 |
1950(昭和25)年、10店舗で「大蔵病院前共栄会」の名称で発足。1970(昭和45)年には共栄会全域で220メートルものアーケードが完成、そのアーケードは当時画期的なものとして全国的に注目を集めた。1987(昭和62)年に共栄会と隣接するフジストアー商店街が統合し、振興組合が結成された。東側に国立病院・砧緑地・区立総合運動場・NHK技研、西側に日本大学商学部などがあるが、片側商店街という形態のネックに加え、最近大型店舗が撤退した影響もあり、未加入店が増加。更には飲食店・調剤薬局の増加で、商店街の形勢が取りにくくなっているのが現状という。現在『レインボーマン』撮影時に設置されていたアーケードはすべて撤去され、障害者やお年寄りに優しいバリアフリー対応の商店街へと移行しつつある。
当該商店街は、津波来襲の報を聞き、中道親子・都民たちが逃げ惑うシーン(第33・34話)、タケシが八重をおぶり父親の許まで届けるシーン(第34話)、DACが化けた黒木が、ひと間違いから本物の“ヤッパの鉄”に「特殊火薬運搬の日時・場所」を知らせてしまうシーン(第35話)、タケシがDAC暗躍を憂い、通りかかった淑江にすらオルガ(偽淑江)の姿を重ね怯えるシーン(第37話)、タケシへのお見舞のフルーツを購入した淑江が、みゆきに手渡すシーン(第38話)、「デパートの屋上にお好みハンバーグはあるかな?」とタケシ・みゆき兄妹、そして淑江が楽しく語り合うシーン(第40話)ほか、主にタケシがヤマト家の人々や淑江と交流するシーンで多用された。
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←国立病院前より商店街を望む。画像右側にあるえんじ色の店舗にご注目いただきたい。2階窓と1階幌(ほろ)との間に、撤去されたアーケードの痕跡が確認できる。
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→渋谷方向より町田方面に向かって商店街をみる。タケシがDAC暗躍を憂い、通りかかった淑江にすらオルガ(偽淑江)の姿を重ね怯えるシーン(第37話)は、この辺りで撮影された。
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↑町田方向より渋谷方面に向かって商店街をみる。「デパートの屋上にお好みハンバーグはあるかな?」とタケシ・みゆき兄妹、そして淑江が楽しく語り合うシーン(第40話)は、この辺りで撮影された。
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→町田方向より渋谷方面に向かって商店街をみる。この撮影位置から左折すると国際放映撮影所前の歩道につながる。
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◯国際放映撮影所付近(砧5丁目)の景色 |
国際放映撮影所向かいにある砧電気と、同一の通りにある商店街の景色をご覧いただきたい。ここでは『レインボーマン』の撮影が行なわれた1972〜1973年当時に近いノスタルジックな風景を、現在も堪能することができる。
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←祖師ケ谷大蔵駅から国際放映撮影所へ向かう途中にある、菓子屋跡。『レインボーマン』放送の頃は、看板の後ろ側から蛍光灯で店名を照らして営業していたと思われる。しかしその看板も今は剥離して無い。一階の店舗は閉鎖されたが、二階は今も生活者の痕跡を見て取れる。
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↑同じく国際放映撮影所へ向かう途中にある、小料理屋跡(ご近所の方のお話によれば、ここ10年ほど入居者がない物件とのこと)。ヤマトタケシの母・たみ(演.本山可久子氏)が営む“おにぎり屋おふくろ”の店舗が現存するとすれば、おそらくこのような状態になっていることだろう。
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←国際放映正門近くの路地。第51話、死ね死ね団の首都圏ミサイル攻撃に逃げ惑う群衆のなかから、「レインボーマンを死ね死ね団に差し出せ」という声が聴かれはじめた。以前、レインボーマンに救われた少女・八重は、そんな大人たちを「大嫌い!」と一瞥し、避難民とは反対方向へ走り出した。この路地は当該避難シーンが撮影された。またミスターKの「国際競技場に来て降伏しろ」というテレビ放送を観たタケシは、この路地でダッシュ7に化身、競技場へ飛び立った。このシーンも同一の路地(第51話)。さらに第52話では、同一路地の反対方向からタケシの化身シーンが撮影されている。
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◯あとがき |
2002年、『レインボーマン』ファンサイトご常連諸氏と「A幼稚園」を見学した後、「国際放映」見学の時間調整のため、この商店街を散策したことがあった(関係者の皆さま、ご参加の皆さま、その節は大変お世話になりました)。今回レポートのため改めて探訪してみて、この6年間に個人商店の廃業やマンション建設が著しく進んだことが見てとれた。少し路地へ入れば、まだまだ『レインボーマン』撮影当時と変わらない風景を発見できるが、世田谷通り沿いの変貌ぶりには本当に驚かされた。これも時代の趨勢なのかも知れないが、少し寂しい気もする。
『コメットさん』(第1作 TBS 1967〜1968年)をはじめ、国際放映作品に度々登場する「不二ビル跡」(現在は商業テナントとマンション)は、『レインボーマンにおいても市井の人々の暮らしを描写するシーンなどで多用されている。ここも厳密には「世田谷通り砧商店街」に含めるべきなのだが、次回以降、『レインボーマン』の撮影が行なわれた1972〜1973年当時に近いノスタルジックな近隣風景とともに、紹介させていただこうと思う。
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