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○こちら特撮情報局 特撮ロケ地巡り
 
 第7回 『愛の戦士 レインボーマン』第22〜23話、第32話ロケ地 神奈川県横浜市青葉区「こどもの国」


『愛の戦士 レインボーマン』
第22〜23話、第32話ロケ地 神奈川県横浜市青葉区 「こどもの国」 その1

特派員:奥虹
取材日:2008年3月某日

 今回は『レインボーマン』第22話「一億人を救え!!」、第23話「奴らの基地はあれだ!!」、第32話「改造人間パゴラ」の撮影で使用されたレクリエーション施設「こどもの国」内のロケ・ポイントを紹介する。
 第22〜23話では園内の“初代セントラルロッジ”がヤマトタケシの父・一郎が拉致されていた死ね死ね団アジトとして、また第33話では園内の“第二トンネル”が獣人パゴラ対レインボーマンの死闘の地として、撮影に使用されている。
 なお、当該ロケ地については、Qちゃん様が管理される特撮ロケ地探求サイト「光跡」内、「横浜☆こどもの国」に詳細な情報が画像入りで網羅されているので、ぜひご参照いただきたい(「光跡」管理人・Qちゃん様のご厚意により直リンク承認済み)。

○神奈川県横浜市青葉区「こどもの国」

 
  「こどもの国」は、社会福祉法人こどもの国協会が運営するレクリエーション施設である(所在地:神奈川県横浜市青葉区奈良町700番地)。
 もともと低い山に囲まれ緑豊かで静かな寒村であったが、太平洋戦争時「東京陸軍兵器保管田奈部隊」の弾薬庫として接収され、1939年から始まった建設工事によって33基にのぼる弾薬庫がつくられた。1941年からは私設内の工場で対戦車砲・地雷・高射砲・野戦重砲・手りゅう弾の組み立てが行なわれた。1945年に入ると、弾薬庫に収容しきれない弾薬を収容するためと、空襲にそなえる防空壕として、山腹に無数の横穴トンネルが堀りめぐらされた。それらの横穴トンネルは現在も「こどもの国」の地下に遺されている。戦後1946年にはアメリカ第八軍司令部の管轄する「米軍田奈弾薬庫」として接収され、朝鮮戦争終息後の1961年には軍事的な役割を終え、事実上閉鎖同然となっていた。現天皇の婚礼、浩宮徳仁親王誕生の祝いを契機に「子どものための施設建設」が国民的世論となり、1960年、厚生大臣の諮問機関である「中央児童福祉審議会」内「中央児童厚生施設特別委員会」で民間人や専門家19名の意見をきいて具体案を決めることになった。特別委員会のメンバーには財界人・大学教授らに混じって円谷英二氏(東宝映画監督)が選ばれている。特別委員会メンバーは恵まれた自然環境・水質、将来的な交通発展の可能性を根拠に「田奈弾薬庫が“こどもの国”候補地に相応しい」と認定。日米合同委員会の場をつうじて返還交渉がなされ、紆余曲折の末1961年5月、田奈弾薬庫は大蔵省の普通財産となり、厚生省の行政財産として使用許可がなされた。
 1964年2月の仮開園を経て、1965年5月5日に「こどもの国」は正式開園の日を迎えた。その後は雪印乳業協力による牧場建設、国庫補助・財団や企業などの寄付によって自然プール・セントラルロッジ・野外集会場・児童館・野外スケート場・キャンプ場・こども動物園・少年サッカー場・オリエンテーリングコース・自然研修センターなどが建設され、40数年間、常に施設の充実が図られてきた。園内ではウメ・ツバキ・ハナモモ・ソメイヨシノ・シダレザクラ・ツツジなど四季折々の花々も楽しむことができる。
(※ 本レポートは“社会福祉法人こどもの国協会”様よりご提供いただいた書籍「こどもの国三十年史」と、施設内画像を基に構成いたしました。貴重な資料ご提供などのご厚情を賜りました“社会福祉法人こどもの国協会”様には心よりお礼を申し上げます)

「こどもの国」正面玄関

「こどもの国」正面玄関。東急田園都市線、JR横浜線「長津田駅」経由、こどもの国線終点の「こどもの国駅」が向かいに走っている。

 
正面玄関より駅方面を望む。 静かだった奈良町にも近年高層マンション建設の波が押し寄せている。
 
中央広場
中央広場にあるシダレザクラ越しに正面広場方向を望む。中央広場では年間を通じてさまざまなイベントが行なわれている。
 
ポニー牧場。ポニー牧場では小型の馬・ポニーに乗馬できる。隣接する牧場では50頭の乳牛と40頭の羊が飼育されており、動物たちと触れ合うことができる。
ポニー牧場
 
弾薬庫跡
弾薬庫跡。現在も遺る20数基の弾薬庫跡のうちのひとつ。これはポニー牧場向かいの丘陵にある弾薬庫跡。1939年から始まった建設工事では千人以上の労務者が集められ、作業はツルハシとシャベルとモッコのみで行なわれたという。
 
◯『レインボーマン』第22話「一億人を救え!!」、第23話「奴らの基地はあれだ!!」あらすじ


 10年前、出張先の東南アジアで死ね死ね団の悪事を知ったがために拉致されていたヤマト一郎(演.小泉博氏)。国内アジトで10年ぶりに再会した父・一郎の無事を喜ぶ間もなく、タケシ(演.水谷邦久氏)は女暗殺者ノーマ(演.メイ・ジュン氏)とマリンダ(演.小野マリア氏)に急襲された。ダッシュ7(太陽の化身)に化身し刺客たちに挑むタケシ。その間、ミスターK(演.平田昭彦氏)は死ね死ね団の機密が収められたマイクロフィルムの在処を吐かせようと、一郎を拷問していた。刺客たちを倒しアジトに突入、一旦は一郎の救出に成功しかけたレインボーマンだったが、強力な電磁バリアで阻止され、父・一郎とともに捕えられる。「一億人の命を救うため、私を見殺しにしろ!」とタケシ@レインボーマンに訴える父・一郎に、タケシは「一億人の命も父の命も等しく大切なんだ!」と、自ら死刑台に登る。マイクロフィルムとの交換を条件に、ミスターKにレインボーマン処刑を止めさせる一郎だが、狡猾なKが約束を守るはずはなかった。拘束されたレインボーマンは雷光の術で辛うじて死ね死ね団のヘリコプターから脱出するが…。

◯初代セントラルロッジ
 
初代セントラルロッジ


※出典:「こどもの国三十年史」 協力:社会福祉法人こどもの国協会様

 
 建築デザイナー・黒川紀章氏設計による子どもたちのための集会場。1964年12月起工、1965年5月完成。白鳥湖を見下ろす丘の上に建つ鉄筋コンクリート造り、二階建て白亜の建物で屋根は富士山のようにも見え、優美な姿を湖面に映し出していた。1階は集会場と吹き抜けのある広場、2階は宿泊室(225平方メートル、定員90名)、それを取り巻くように浴室、トイレ、食堂、共同で使う部屋などが配置されていた。黒川氏の意図は「道の空間的特質を建築空間に導入することだった」そうだが、子ども達の宿泊施設としてはほとんど使用されることがなかった。何故ならば、2階の宿泊室からの避難設備が不備のため、消防署と保健所の了承が得られなかったためである。つまり初代セントラルロッジはその外観の優れた芸術性にもかかわらず、実用性に欠けていた建物と言わざるを得なかった。その後1階部分を倉庫として、また2階部分を職員・指導員の臨時宿泊所として利用していたが、1988年に解体、その跡地に二代目のセントラルロッジが建設された(2008年現在、二代目のセントラルロッジは使用されていない)。
 いまは無き初代セントラルロッジは、『レインボーマン』第22〜23話、死ね死ね団のアジトのひとつとして撮影が行なわれた。1階の吹き抜けでは東宝の大スターである平田昭彦氏・小泉博氏のそろい踏みという東宝本編なみの稀有で豪華なシーンが撮影された。暗殺者ノーマ・マリンダとダッシュ7との死闘では火薬が使用され、迫力あるシーンが撮影された。現在初代セントラルロッジの形跡は、タケシがアジトに踏み込む際に駆け上がる“茶色の煉瓦階段”を遺すのみである。
 なお『仮面ライダーV3』第1話「ライダー3号 その名はV3!」では、デストロンのアジトとしてロケが行なわれている。また『秘密戦隊ゴレンジャー』第46話「黒い超特急!機関車仮面大暴走」では、機関車仮面・黒十字軍戦闘員とゴレンジャーの死闘が撮影されている。
白鳥湖。本物の白鳥が放たれている白鳥湖。死ね死ね団アジト=初代セントラルロッジに潜入しようとするタケシの背景にも、この白鳥湖の湖面が一瞬映りこんでいた。
白鳥湖
 
煉瓦階段
煉瓦階段。現在唯一、初代セントラルロッジの形跡を遺す茶色の煉瓦階段は、ミスターKがヤマト一郎を拘束していた1階吹き抜け部分に接続していた。ここではタケシがアジトに踏み込む際に駆け上がるシーン、女暗殺者ノーマ・マリンダとダッシュ7の死闘シーンが撮影された。
 
二代目セントラルロッジ。初代セントラルロッジが解体された後に建設された二代目ロッジは、機能性重視のバンガロー風であった。が、現在は老朽化のためか使用されていない。
二代目セントラルロッジ
 
初代セントラルロッジ跡周辺の雑木林
初代セントラルロッジ跡周辺の雑木林。ヤマト一郎にマイクロフィルムの在処を自白させようとするミスターKの背景にある雑木林で、暗殺者ノーマ・マリンダ・死ね死ね団団員とダッシュ7は死闘を繰り広げた。