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○こちら特撮情報局 特撮ロケ地巡り
 
 第35回 特撮ロケ地レポート 『愛の戦士 レインボーマン』
第8・16・33〜35・38〜39・49話ほかロケ地 東京都世田谷区「国際放映撮影所」


第35回 特撮ロケ地レポート 『愛の戦士 レインボーマン』
第8・16・33〜35・38〜39・49話ほかロケ地 東京都世田谷区「国際放映撮影所」

 今回紹介させていただくロケ地は、東宝撮影所と並んで『レインボーマン』制作・撮影の拠点となった国際放映撮影所である。人間ポンプ・ガルマとダッシュ7の戦闘シーン(第16話)、巨大津波来襲の報を受け避難する際、父親とはぐれた少女・八重が、無人の団地で父を呼ぶシーン(第33話)、八重は避難する人々に「レインボーマンが津波から助けてくれたの」と訴えるが、それを聞きつけたDACがタケシの行方を訊ねるシーン(第34話)、鬼神にも似たレインボーマンの圧倒的な強さを観てオルガ・ロリータが一旦退却するシーン(第35話)などが撮影された。

◯『愛の戦士 レインボーマン』第8話「ひとりぼっちの戦い」あらすじ

 
 闇夜で死ね死ね団員たちのナイフ攻撃をかわしたダッシュ7(太陽の化身)であったが、目つぶしのアイパッチ攻撃に負傷し敗走する。ダッシュ6(土の化身)の"疾風土煙花の術"で一旦土中に逃れたタケシ(演.水谷邦久氏)は、さらに堀田の経営するガソリンスタンドへと逃れる。タケシは堀田(演.黒木進氏 現.小野武彦氏)から目の手当を受けながら、死ね死ね団の存在を必死で訴えるが、「被害妄想だ」と一笑に付される。その頃、死ね死ね団員たちは"おめん屋"という名のおでん屋台を出し、サラリーマンたちにキャッツアイ入りの日本酒をふるまっていた。タケシの危惧をよそに、死ね死ね団の日本人総狂人化作戦は着々と進行していたのだ。腫れた瞼で帰宅したタケシを心配し叱咤する母・たみ(演.本山可久子氏)であったが、タケシは"日本の平和"が自分の肩にかかっていることを実感し、正義の戦いへの気持ちを新たにする。「一晩に62名もの自殺者」という新聞記事を読んだタケシは、"ファッションショップK"のマッチが手がかりだと直感、淑江(演.伊藤めぐみ氏)に協力を求めようと決意。その頃淑江は、どんぐり園内に侵入してきたキャッツアイ中毒の中年男性に、首を絞めつけられていた。駆けつけたタケシは咄嗟に背負い投げで男を叩きのめすが、男は猫目のように瞳を光らせて死んだ。タケシは男がキャッツアイ中毒によって死んだことを語るが、淑江は信じようとしない。"愛する人々のための戦い"が受け入れられない現実に苦悩するタケシに、降臨したダイバダッタ(演.井上昭文氏)の魂は「己の道を信じ、貫くのだ」と諭す。一方ダイアナ(演.山吹まゆみ氏)たちは"美容ドリンクプリティ試飲会"と称し、公園で女性たちにキャッツアイ入りドリンクを配り始めていた。偶然通りかかったタケシを発見したダイアナは、女性団員に尾行を命令。罠の仕掛けられたビル工事現場に誘導されたタケシの頭上に、いま多量の鉄骨が降り注ぐ…。

◯『愛の戦士 レインボーマン』第34話「真空竜巻の術」あらすじ


  モグラート1号の起こした津波は、東京都民一千万人の逃げ場を完全に奪った。ダッシュ7(演.水谷邦久氏)は"真空竜巻の術"で津波を逆流させ押し返すと、水面を元に戻した。避難の際父親とはぐれた少女・八重(演.杉野公子氏)は、津波を押し戻す7を見つけ駆け寄るが、そこにはエネルギーを失い倒れるタケシがいるばかりだった。八重の看病で目を覚ましたタケシは、海運仮設事務所近くでヨガの眠りに陥る。八重は避難する人々に「レインボーマンが津波から助けてくれたの」と訴えるが、それを聞きつけたDACがタケシの行方を訊ねる。一方紳士に変装したミスターK(演.平田昭彦氏)は、オルガとともに記者会見現場にいた。「日本は危険な国だ」という世論の真偽を確かめるため、アリシア連邦国のダリンジャー大統領補佐官(演.オスマン・ユセフ氏)が調査委員会代表として来日。Kはダリンジャー氏と警護SP2名(演.所雅樹氏ほか)の写真を確保し、人間複写装置で偽者を造ろうと目論んでいたのだ。「レインボーマンは天使のよう」と言う八重にタケシは和むが、突如背後からDACが襲って来た。八重の面前で化身できないタケシは肉弾戦でDACに挑み苦戦するが、無事父親・中道(演.久野四郎氏)の許へ八重を送り届けた。ダリンジャー氏の身辺に危険が迫っていることを察知したタケシは、宿泊ホテルへ駆けつけるが、ダリンジャー氏は既に伊豆・箱根へ観光に出発していた。日本の美しさに触れたダリンジャー氏は、「日本を貶めようとしている人間がいるのではないか」と考え、真実に迫る決意をする。二人の警護SPを殺害し入れ替わった偽警護SP(DAC)を引き連れ、Kとオルガ(演.藤山律子氏)がダリンジャー氏の前に現れた。しかもKはダリンジャー氏の偽者をも伴っていた。上空から孤立無援のダリンジャー氏を発見した7は、間一髪偽者たちを駆逐すると、バズーカ砲で攻撃してくるDACに対し"念力バリア"でダリンジャー氏を護る…。

◯『愛の戦士 レインボーマン』第35話「姿なき黒い手」あらすじ

 
  DACの魔手から救われたアリシア連邦国・ダリンジャー大統領補佐官(演.オスマン・ユセフ氏)は、ダッシュ7(演.水谷邦久氏)に「『日本は危険な国ではない』というレインボーマンを信じる」と語る。かくして死ね死ね団の要人暗殺による日本孤立化作戦は失敗をみた。その頃オルガ(演.藤山律子氏)はDAC訓練を指導中のロリータ(演.皆川妙子氏)のもとを訪れ、「Xゾーン破壊作戦に必要な特殊火薬を隠密に運搬する」というミスターKの作戦を伝えていた。人間複写装置を用いDAC隊員をヤクザ・黒木(演.山口譲氏)と生き写しに変え、怪しまれず特殊火薬を運搬しようというのだ。恋人・淑江(演.伊藤めぐみ氏)と"どんぐり園"で昼休みを楽しんでいたタケシは、「火薬工場爆破事故は何者かが故意に火薬を爆発させた可能性あり」と報じるラジオニュースを聞き、地底戦車・モグラートの影を感じ取り、園を飛び出した。そしてダッシュ6に化身し火薬工場地下を探索した結果、モグラートが火薬を運び出した痕跡を発見する。勤めを終えた淑江を待ち伏せていたタケシは淑江に詫び、明日の淑江の誕生日には必ずデートをすると約束する。さらに帰り道、ヤッパの鉄(演.山崎純資氏)に出会ったタケシは、鉄から「自分と瓜二つの人間が悪事を働いている」という信じ難い話から、死ね死ね団の策謀を察知する。DACが化けた黒木と鉄に接近したタケシだが突然斬りつけられ、偽者たちも逃走した。ダッカー戦闘機によるダム爆破など、事態は益々悪化の一途を辿っていた。そんな折、偽者黒木の誤解から特殊火薬運搬の日時・場所を告げられた(本物の)鉄は、事件をタケシに知らせるため"どんぐり園"を訪ね淑江に伝言を依頼する。デートをすっぽかされ拗ねた淑江は、鉄からの伝言をタケシに伝えることを躊躇していた。「レインボーマンは宇宙から来たスーパーマンではない。ロボットでもサイボーグでもない。人間なんだ。俺も一緒に戦わなくてはならない!」と真摯に語るタケシに対し、淑江も澄んだ瞳で真実を伝える。火薬積込みのため第四埠頭へやって来た偽黒木たちを追い、7が到着。ヤッパの鉄も共に戦う。その戦いを静観していたオルガ・ロリータは、鬼神にも似たレインボーマンの圧倒的な強さを観て一旦退却した。火薬倉庫は大爆発を起こし、死ね死ね団の作戦はまたも潰えるのだった。

◯国際放映

 
  現在はテレビ番組制作会社である同社だが、ルーツは映画会社の新東宝で、同社倒産後、東宝・TBS・フジテレビなどの出資により1964年「国際放映」として改組された。その後撮影所の一部を日本大学商学部に譲渡、映画撮影用スタジオをテレビ用に転用し番組制作を行ってきた。その制作番組は、『チャコちゃん』シリーズ(TBS 1962〜1969年)、『忍者部隊月光』(フジテレビ 1964〜1966年)、『コメットさん』(第1作 TBS 1967〜1968年)(第2作 TBS 1978〜1979年)、『ケンちゃん』シリーズ(TBS 1969〜1982年)、『美しきチャレンジャー』(TBS 1971年)、『ワイルド7』(日本テレビ 1972〜1973年)、『魔人ハンター・ミツルギ』(フジテレビ 1973年)、『水滸伝』(日本テレビ 1973〜1974年)、『西遊記』(第1作 日本テレビ 1978〜1979年)(第2作 日本テレビ 1979〜1980年)、『あばれはっちゃく』シリーズ(フジテレビ 1979〜1985年)、『猿飛佐助-The Jumping Monkey-』(日本テレビ 1980年)など、枚挙に暇がない(『愛の戦士 レインボーマン』や『光の戦士 ダイアモンド・アイ』は、東宝制作。国際放映が制作協力)。建物の老朽化と相まってスタジオを改築。1992年、阪急阪神東宝グループの関西テレビなども参加し、東京メディアシティが誕生した。 
 死ね死ね団員たちが堀田のガソリンスタンドにダイナマイトを仕掛けるシーンは、国際放映と日本大学所有テニスコートとの境界線辺りが使用れたと思われる(第8話)。アフリカからやって来た殺人プロフェッショナル第2号、人間ポンプ・ガルマが、ガルマ・ファイヤー(高熱の火炎)とガルマ・ブルー(溶解液)でダッシュ7を翻弄するシーン(第16話)。巨大津波来襲の報を受け避難する際、父親とはぐれた少女・八重が、無人の団地で父を呼ぶシーン(第33話)。八重は避難する人々に「レインボーマンが津波から助けてくれたの」と訴えるが、それを聞きつけたDACがタケシの行方を訊ねるシーン(第34話)。人間複写装置で黒木に化けたDACが、Xゾーン破壊作戦に使用する特殊火薬の倉庫をダッシュ7に突き止められ、一戦を交えるシーン。その戦いを観察していたオルガ・ロリータが、鬼神にも似たレインボーマンの圧倒的な強さを観て一旦退却するシーン。現在は既に建て壊された同所内スタジオ付近が、火薬倉庫として夜間撮影で使用されている(共に第35話)。ミスターKの命令を受けDAC隊は、バズーカ砲やマシンガンをジープに積んでアジトから出撃した(第49話)。

 なお、当該ロケ地については、Qちゃん様が管理される特撮ロケ地探求サイト「光跡」内、「撮影所(STUDIO)」に詳細な情報が画像入りで網羅されているので、ぜひご参照いただきたい(「光跡」管理人・Qちゃん様のご厚意によりリンク承認済み)。

 
東京メディアシティ

国際放映が管理しているテレビスタジオ・東京メディアシティ(通称TMC)の玄関。『レインボーマン』撮影当時、国際放映の玄関もこの辺りにあった。TMC内部にはTBSと関西テレビ用が各2スタジオずつ、国際放映直接管理の3スタジオ、総計7スタジオがある(2007年にフジテレビが撤退した後、A1・A2スタジオは国際放映直営となっている)。

 

国際放映社屋。業務は2・3階で行なわれ、1階は俳優諸氏の楽屋としても使用されている。

国際放映社屋
 
◯あとがき

 
 弊サイト主催オフ会では、『レインボーマン』『ワイルド7』の聖地である国際放映・東京メディアシティにて、たびたび施設見学と勉強会を実施させていただいている。ロケ地「国際放映」執筆に際して、押見順司氏と黒丸治夫氏の平素のご厚情に心からお礼を申し上げておきたい。
 余談だが『レインボーマン』主演の水谷邦久氏は、撮影期間とその後数年間を国際放映撮影所近くのマンションで過ごされたという(ソースは国会図書館所蔵のタレント名鑑記事、および砧電気さんのご発言)。ロケ地探索のなか、幸運にも同マンションの大家さんH氏とお話しさせていただく機会を得た。大家さんH氏は水谷氏とほぼ同世代の方で、ヒゲを蓄えたダンディな紳士。お持ちの3階建てマンション物件は1968(昭和43)年の完成。外壁は総タイル貼りで、その当時まだ日本では一般的でなかったユニットバス(トイレとシャワーバスの一体型)を導入していたという。螺旋階段を上ると見える厚いスチールのドアも建設当時のもの。『レインボーマン』の撮影で、ほぼ連日早朝から深夜までの激務に追われた水谷氏にとって、このマンションの3階の一室はまさしく心安らぐオアシスであったことだろう。H氏からみた水谷氏の印象は「ドラマで主役を張っているのに、威張らず人当たりが良い人だった」という。『レインボーマン』撮影当時と様子の変わらないというマンションを見ていると、螺旋階段を下り、国際放映撮影所へと向かう若き水谷氏の姿が、そこにあるかのような錯覚につい捕われる。
 またH氏は国際放映(1964年以前は新東宝)に髪結い(結髪)の知り合いがいたため、時折撮影所へ遊びに行っていたという。メイク室にいる化粧中の高橋英樹氏や、時代劇の立ち回りで斬られ役の俳優さんに杉良太郎氏が厳しく注文を出す姿を観たということだ。また現在の日大商学部キャンパス辺りは昭和30年代半ばには新東宝所有地であり、巨大で精巧な戦艦大和の映画用セットに驚かされたそうだ。時代ごとに様々な撮影システムに迅速に対応してきた国際放映だが、旧き良き時代の映画づくりやテレビドラマづくりの良い部分を継承し、ますます発展していくことを願ってやまない。
 末筆ながら、たくさんの貴重なお話をおきかせてくださったH氏には、心よりお礼を申し上げます。