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○こちら特撮情報局 特撮ロケ地巡り
 
 第16回 特撮ロケ地レポート
 『愛の戦士 レインボーマン』第1・3・8〜10・24話ほかロケ地 東京都世田谷区「日石 砧給油所跡」


第16回 特撮ロケ地レポート 『愛の戦士 レインボーマン』
第1・3・8〜10・24話ほかロケ地 東京都世田谷区「日石 砧給油所跡」

特派員:奥虹
取材日:2008年4月某日

 今回紹介させていただくロケ地は、タケシの先輩であり後見人である堀田の勤務先である。世田谷通りにある「日石 砧給油所」。ここでは、タケシがインドに聖人ダイバ・ダッタを訪ねる遠因となった堀田とのやりとりがなされた。またキャッツアイ作戦を実行する死ね死ね団の存在を知った堀田が、仕掛けられたダイナマイトにより危うく爆死しそうになった場所でもある。

◯『愛の戦士 レインボーマン』第1話「奇蹟の聖者」あらすじ

 
  印パ戦争の痛ましい戦場に“下町の黒豹”と呼ばれたヤマトタケシ(演.水谷邦久氏)の姿があった。聖人ダイバ・ダッタ(演.井上昭文氏)に会うため日本からインドへやって来たのだ。クリシュナガール国境からヒマラヤ麓へ行こうとするタケシは、はずみからインド兵をぶちのめしジープを奪う。[以下回想シーン/東京都高校レスリング大会。城東高校代表として決勝戦に挑んだタケシは、“必殺回転おとし”で対戦相手を再起不能にする。レスリング部主将(演.倉田始氏)から除名されたタケシは、国際プロレスラーを目指す。砧給油所を訪れたタケシに先輩の堀田(演.黒木進氏 現.小野武彦氏)は、「インドにダイバ・ダッタという超能力者がいる。世界で唯一奇蹟をおこない、七つの能力を持つ超人に変身する人物」と語る。幼少期に交通事故で妹・みゆき(演.石川えり子氏)の左脚を麻痺させてしまったタケシは、治療費を稼ぐためダイバ・ダッタに弟子入りし国際プロレスラーの“剛力”を手に入れようと考えたのだ。明日インドへ旅立つタケシは、河原でみゆきを背負うと「必ず脚を治してやる」と心に誓う。
母・たみ(演.本山可久子氏)もそんなタケシを黙って励ます…] ゲリラと間違われたタケシは、パキスタン兵に腹部を撃たれ死線を彷徨う。その時空中から現れた聖人ダイバ・ダッタは、蘇生の術で重症のタケシを治す。まもなく寿命が尽きようとしていたダイバは、「東方から若い男が訪ねてくる」という仏のお告げを聴いていた。タケシが自分の後継者になる男かも知れないと直感したダイバは、「修行したければ山頂までついて来い」と誘う。険しい崖を荒々しく素手で登るタケシ。その時空中に浮かぶ神々しいレインボーマンの姿を見つけたダイバは、タケシこそが未来のレインボーマンであることを確信する…。

◯『愛の戦士 レインボーマン』第9話「タケシを狂わせろ!」あらすじ

 
   鉄骨の下敷きになったと思われたタケシ(演.水谷邦久氏)だが、間一髪ダッシュ1(月の化身)の“蛇変化の術”で地下道へ脱出していた。その頃堀田(演.黒木進氏 現.小野武彦氏)は「自殺者62名」の新聞記事からタケシの危惧を思い出し、城西署の友人・北村刑事(演.長島寛氏)にコンタクトを取ろうとしていた。タケシが無事脱出したことを知ったダイアナ(演.山吹まゆみ氏)は、女性団員にタケシの尾行を命令。喫茶ファンタジーで堀田・北村刑事と偶然鉢合わせしたタケシだが、既にダイアナら女性団員たちが店内を固めていた。死ね死ね団の策謀について語るタケシに、北村は「一般の人間を殺すことに利益はない。今のままでは警察は動くわけにはいかない」と協力を拒む。ミスターK(演.平田昭彦氏)はタケシにキャッツアイ入りジュースを飲ませ狂人化させる作戦をダイアナに指示、まんまと薬物入りジュースを飲み干すタケシを見てダイアナはほくそ笑む。“ファッションショップK”を探し当てたタケシは「妹の下着を買いにきた」と客を装い店に潜入するが、店員に化けた女性団員に軽くあしらわれる。北村刑事と解散して間もなく、タケシにキャッツアイ中毒症状が現れ始めた。奇声を発しながら街中を千鳥足で歩くタケシを見て、堀田は青ざめる。さらに屋上から奇声を発するタケシを見るに至って、彼をともない松尾精神病院へ診察に訪れるが、診察を担当した川島医師(演.松本朝夫氏)は死ね死ね団の手先だった。精密検査を口実に特別病棟にタケシを拘束した川島は、看護婦に扮したダイアナと結託、特殊装置でタケシを完全に狂人化しようと電圧を上げる。「俺の手に日本人の生命がかかっているんだ!」。タケシは強靭な精神力でキャッツアイ症状と必死に戦うが…。

◯『愛の戦士 レインボーマン』第10話「やつらを殺(け)せ!」あらすじ

 
  死ね死ね団の協力者・川島医師(演.松本朝夫氏)はダイアナ(演.山吹まゆみ氏)と結託し、キャッツアイ漬けになっても死なないタケシ(演.水谷邦久氏)を特殊装置で狂死させようとしていた。病棟に放り込まれたタケシは本能的にヨガの眠りに入り、エネルギーを補給する。一方ミスターK(演.平田昭彦氏)は、タケシから死ね死ね団の秘密を聞かされた堀田(演.黒木進氏 現.小野武彦氏)・北村刑事(演.長島寛氏)殺害をダイアナに指示、堀田のガソリンスタンドにダイナマイトが仕掛けられるが、堀田の機転で団員の方が吹き飛ばされる。死ね死ね団の存在を確信した堀田・北村は、精神病院に拘束されたタケシの安否を懸念する。その頃ミスターKは村山貯水池にキャッツアイを大量投棄し、都民を大量狂死させる作戦に着手しようとしていた。キャッツアイの在庫を確認したダイアナは、用済みになった川島医師を殺害しようとするが、Kの命令で精神病院に立ち寄った堀田・北村を先に始末する作戦にシフトした。果敢にダイアナたちに挑む堀田・北村だったが、団員たちに圧倒され病院内に拘束される。正気に戻ったタケシはダッシュ7に化身、今まさにキャッツアイを盛られようとする堀田・北村を救助、逃亡したダイアナたちを追う。堀田・北村もレインボーマンを援護しながら脱出を試みる。キャッツアイ倉庫潜入に成功したダッシュ7は薬物を確保し、死ね死ね団の存在を白日のもとに晒そうとする。証拠隠滅のためダイアナたちは倉庫に火を放ち、レインボーマンはダッシュ3(水の化身)の“水嶺砲の術”で決死の消火にあたるも、倉庫は大爆発を起こした…。

◯日石 砧給油所跡

 
  タケシの先輩であり後見人である堀田(演.黒木進氏。現.小野武彦氏)の勤務先は、東京都道・神奈川県道3号世田谷町田線(世田谷通り)にある「日石 砧給油所」であった。元高校レスリングチャンピオンだった堀田は、タケシに「“逆風車投げ”という技もプロには通用しなかった」とプロの厳しさを語り、また「インドにダイバ・ダッタという超能力者がいる」と、タケシがインドに聖人ダイバ・ダッタを訪ねる遠因となる助言をしている(第1話)。インドから帰還したタケシは、堀田に無事を報告するためガソリンスタンドへやってきた(第3話)。闇夜で死ね死ね団員たちのナイフ攻撃をかわしたダッシュ7は目つぶしのアイパッチ攻撃に負傷し敗走、堀田のガソリンスタンドへと逃れる。堀田はタケシの目の手当をしながら、死ね死ね団の存在を必死で訴えるタケシを「被害妄想だ」と一笑に付す(第8話)。「自殺者62名」の新聞記事からタケシの危惧を思い出した堀田は、城西署の友人・北村刑事を電話で呼び出す(第9話)。キャッツアイ作戦で殉職した死ね死ね団員の遺体を目の当たりにし、組織の存在を知ってしまった堀田は、給油所内に仕掛けられたダイナマイトにより危うく爆殺されそうになる(第10話)。イグアナによって人間態となった愛猫(化け猫)から逃れ、堀田のガソリンスタンドへやって来たタケシは、堀田に苦悩を吐露する。堀田は親子の情に溺れ大切な決断をすることが出来ないタケシの弱さを叱り励ます(第24話)。
 
  なお、砧給油所があった場所には、およそ20年前より「ホンダ・カーズ東京中央砧店ショールーム(砧1-10-7)」がある。

 
日石砧給油所跡 その1

東京都道・神奈川県道3号世田谷町田線の三軒茶屋方面に「日石砧給油所跡」を望む。1999年の日石・三菱石油の合併に伴い、砧地区の給油所は「日石三菱環八砧給油所」(同区砧2丁目)に統合されたようだ。

 

東京都道・神奈川県道3号世田谷町田線の町田市方面に「日石砧給油所跡」を望む。跡地は「ホンダ・カーズ東京中央砧店ショールーム」となり、世田谷通りを隔てた真向かいには、関連店の「ホンダ・カーズ東京中央砧店」がある。

日石砧給油所跡 その2
 
日石砧給油所跡 その3

「日石砧給油所跡」周辺にはマンションが増えたが、なかには隣接する民家のように『レインボーマン』撮影当時とほとんど変わりない家屋もある。この場所も東宝撮影所・国際放映撮影所からおよそ1キロメートルの距離にあり、撮影には大いに重宝されたようだ。

 
◯あとがき

 
 現在ではベテラン俳優のおひとりとして、映画・テレビ・舞台にと大活躍中の小野武彦氏(当時.黒木進氏)。『レインボーマン』第1〜2クールにおける、小野氏演じる堀田先輩の存在意義は、ダイバダッタ(演.井上昭文氏)とともに極めて大きい。ダイバダッタ亡き後、死ね死ね団の初期策謀(キャッツアイ作戦)は、組織の存在を明るみにせず日本人の抹殺を目論むものだった。最初こそ堀田も死ね死ね団の存在を一笑に付す人々のなかにいたが、いつしかタケシの孤独な戦いに気づき、彼に手を差し伸べ、勇気をもって共に生命を賭け死ね死ね団に挑む。そう、日本におけるタケシの最初の理解者は堀田だったのである。 本レポートの「日石 砧給油所跡」(現.ホンダ・カーズ東京中央砧店ショールーム)は、そんな堀田に関係する代表的なロケ地である。テレビなどで小野武彦氏のご活躍を拝見する度、「日石 砧給油所」で、ときに厳しくときに優しくタケシに語りかける堀田先輩の勇姿を自然と思い出す。