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○こちら特撮情報局 特撮ロケ地巡り
 
 第37回 特撮ロケ地レポート
 『愛の戦士 レインボーマン』 第8話ほかロケ地 東京都新宿区「新宿中央公園」


第37回 特撮ロケ地レポート
 『愛の戦士 レインボーマン』 第8話ほかロケ地 東京都新宿区「新宿中央公園」

特派員:奥虹
取材日:2008年8月某日

 今回紹介させていただくロケ地は、"キャッツアイ作戦"の一環として、ダイアナたちが"美容ドリンクプリティ試飲会"と称し、女性たちにキャッツアイ入りドリンクを配る公園である。孤独な戦いを周囲から理解されない孤立感を噛みしめるタケシが、佇んでいた東屋も公園内"現.ちびっこ広場(ジャブジャブ池付近)"にあった。

◯『愛の戦士 レインボーマン』第8話「ひとりぼっちの戦い」あらすじ

 
 闇夜で死ね死ね団員たちのナイフ攻撃をかわしたダッシュ7(太陽の化身)であったが、目つぶしのアイパッチ攻撃に負傷し敗走する。ダッシュ6(土の化身)の"疾風土煙花の術"で一旦土中に逃れたタケシ(演.水谷邦久氏)は、さらに堀田の経営するガソリンスタンドへと逃れる。タケシは堀田(演.黒木進氏 現.小野武彦氏)から目の手当を受けながら、死ね死ね団の存在を必死で訴えるが、「被害妄想だ」と一笑に付される。その頃、死ね死ね団員たちは"おめん屋"という名のおでん屋台を出し、サラリーマンたちにキャッツアイ入りの日本酒をふるまっていた。タケシの危惧をよそに、死ね死ね団の日本人総狂人化作戦は着々と進行していたのだ。腫れた瞼で帰宅したタケシを心配し叱咤する母・たみ(演.本山可久子氏)であったが、タケシは"日本の平和"が自分の肩にかかっていることを実感し、正義の戦いへの気持ちを新たにする。「一晩に62名もの自殺者」という新聞記事を読んだタケシは、"ファッ ションショップK"のマッチが手がかりだと直感、淑江(演.伊藤めぐみ氏) に協力を求めようと決意。その頃淑江は、どんぐり園内に侵入してきたキャッ ツアイ中毒の中年男性に、首を絞めつけられていた。駆けつけたタケシは咄嗟に背負い投げで男を叩きのめすが、男は猫目のように瞳を光らせて死んだ。タケシは男がキャッツアイ中毒によって死んだことを語るが、淑江は信じようとしない。"愛する人々のための戦い"が受け入れられない現実に苦悩するタケシに、降臨したダイバダッタ(演.井上昭文氏)の魂は「己の道を信じ、貫くのだ」と諭す。一方ダイアナ(演.山吹まゆみ氏)たちは"美容ドリンクプリティ試飲会"と称し、公園で女性たちにキャッツアイ入りドリンクを配り始めていた。偶然通りかかったタケシを発見したダイアナは、女性団員に尾行を命令。罠の仕掛けられたビル工事現場に誘導されたタケシの頭上に、いま多量の鉄骨が降り注ぐ…。

◯新宿中央公園(新宿区西新宿2-11)

 
 新宿区西新宿二丁目、新宿高層ビル群の一角にある新宿区立の都市計画公園。面積8万8066平方メートル。1960年、新宿副都心計画事業の一環として計画され、1968年4月、東京都によって淀橋浄水場の跡地と併せ、都民の憩いの場として整備された。1975年4月、都から移管を受け、区立公園として新宿区が管理することになった。1980年度より4ヶ年計画として「レクレーション広場の確保」「災害時の避難広場としての防災性向上」「利用者を惹きつける魅力的な公園」を基本理念に、改造事業が進められる。同事業は"水の広場""コミュニティー広場""芝生広場""区民の森"の4ブロックに分けて行なわれ、1984年3月に完成。1995年には「生き物と共存する公園づくり」のため、"生物生息環境形成事業"が、また1996〜2004年には「ホームレスのシェルター公園からの脱却」のため、"自立支援の協働事業"が行なわれた。その後も公園の活性化のため、各ブロックごとの充実が図られている。(参照:「新宿土木30年のあゆみ」新宿区環境土木部)
 どんぐり園に乱入してきた"キャッツアイ患者"の男から淑江を救ったタケシ。だが淑江はタケシの訴えを理解しようとはしなかった。傷心のタケシはどんぐり園を飛び出すと、砧3丁目の路地から新宿中央公園へと移動。当時、十二社通り沿いにあったボウリング場"後楽園新宿ボウル"(新宿区西新宿4-15 1971年10月開場)を背景に公園内へ入る。現在の"区民の森"を散策してから"噴水池"(現在の"ちびっこ広場"ジャブジャブ池付近)の東屋へ移動。そこから通りかかった園児たちの姿を見、孤独な戦いを周囲から理解されない孤立感を噛みしめる。現れたダイバダッタ(の魂)から「己の道を信じ、貫くのだ」と諭し励まされたタケシは、見事立ち直る。
 『レインボーマン』撮影当時、通称"ジャブジャブ池"は円形の小噴水池で、それを取り囲むように薔薇のプランターと楕円の垣根(植物はサツキ)があった。1983年3月、"ちびっこ広場"として遊具などがリニューアルされたのに伴い、小噴水池は撤去され、角張った流水池(通称.ジャブジャブ池)となった。小噴水池付近にあったタケシが佇む東屋は、現在撤去されている。"ジャブジャブ池"(旧.小噴水池)では、1970〜80年代の特撮番組撮影で多用されている(『ウルトラマンレオ』第43話、『電子戦隊デンジマン』第51話、『太陽戦隊サンバルカン』第8話、『宇宙刑事シャリバン』第21話など)。
 ダイアナたちは"美容ドリンクプリティ試飲会"と称し、"水の広場"で女性たちにキャッツアイ入りドリンクを配り始める。偶然"試飲会"店舗前を通りかかったタケシを発見したダイアナは、女性団員に尾行を命令する。"区民の森"内のベンチに座り、タケシが通りかかるのを待ち構えていた女性団員は、わざとハンドバッグを地面に落とす。親切にバッグを拾おうとしたタケシの隙を突き、背後から銃を突きつけた女性団員は、その状態のまま"区民の森"から中央通り・都庁通りが交差する階段を経由して住友ビル建設現場へと移動する。
 "美容ドリンクプリティ試飲会"が行なわれたのは、中央通りを西進すると突き当たる"現.水の広場"の一角。向かって右側に見える階段の袂あたりに、「美容ドリンクプリティ試飲会」の看板とテーブルが置かれた。看板をナメるアングル撮影(ワンカット)のみ、看板は東向きに設置され(看板の隅に、当時建設中だった住友ビルが映り込んでいることから判明)、それ以外のシーンでは北向きに設置され撮影されている。当時"水の広場"には円形の噴水池があり、1970年代特撮番組の撮影でも頻繁に使用された(『怪奇大作戦』第5話、『帰ってきたウルトラマン』第39話、『仮面ライダー』第82話、『キカイダー01』第23話、『ウルトラマンレオ』第39・43・48話、『宇宙刑事ギャバン』第17・28話など)。現"水の広場"の完成が1982年5月。同所内"新宿ナイアガラ""新宿白糸の滝"の完成時には、まだ"噴水池"はあったが、その後1990年代前半に撤去されアスファルトが敷かれた。

新宿中央公園

どんぐり園を飛び出したタケシは、新宿中央公園へと移動。当時、十二社通り沿いにあったボウリング場"後楽園新宿ボウル"(現在は後楽園グループの自社ビル)を背に公園内へ入る。タケシの背景にあった植物"メタセコイヤ"の樹は、撮影当時まだ細かったが、現在は通り沿いのビルをも隠してしまう程に生長した。

 

通称"ジャブジャブ池"の全景。『レインボーマン』撮影当時、"ジャブジャブ池"は円形の小噴水池で、それを取り囲むように薔薇のプランターと楕円の垣根(植物はサツキ)があった。タケシは小噴水池に隣接する東屋(現在は撤去)から、園児たちの姿を見、孤独な戦いを周囲から理解されない孤立感を噛みしめる。

通称"ジャブジャブ池"の全景
 
通称"虹の橋"辺り

東京都庁と中央公園を結ぶ通称"虹の橋"辺り。現在はホームレスが持ち込んだブルーシートが点在する。都庁の背景に京王プラザホテルが確認できる。孤独な戦いを周囲から理解されない孤立感を噛みしめるタケシを叱咤激励するため、現れたダイバダッタ(の魂)。その魂は虹色の玉となって、京王プラザホテル屋上辺りから現れる。その撮影はアングル的に、東京都庁と新宿中央公園を結ぶ"虹の橋"辺りだと思われる。

 

"ホテル・ハイアットリージェンシー東京"前から、公園通り越しに"水の広場"を望む。かつて広場中央には噴水池があったが、イベント広場としての機能と、災害時の避難場所を確保する必要性から1980年代前半に撤去された。現在アスファルトで固められた広場では、ガレージセールなどが行なわれ、区民の憩いの場所となっている。

"ホテル・ハイアットリージェンシー東京"前から、公園通り越しに"水の広場"を望む。
 
"水の広場"を北方向に望む

"水の広場"を北方向に望む。向かって左側には"新宿ナイアガラの滝""新宿白糸の滝"があり、右側を進むと公園通りを経て中央通りに繋がる。画像中央の階段右下辺りが、「美容ドリンクプリティ試飲会」の看板とテーブルが置かれた場所。ダイアナと女性団員の巧みなトークに騙され、市井の女性たちがキャッツアイ入りのドリンクを盛られた。

 

"区民の森"内のベンチに座り、タケシが通りかかるのを待ち構えていた女性団員は、わざとハンドバッグを地面に落とす。親切にバッグを拾おうとしたタケシの隙を突き、背後から銃を突きつけた。公園内にあるベンチは従来より木製だが、『レインボーマン』劇中のものより小振りだ。劇中ベンチの後方には外灯が、また隣にはスタンド式公衆電話があったが、公園関係者によれば「1972年当時とは外灯・公衆電話の位置は変わっている」との由。

"区民の森"内のベンチ
 
◯あとがき

 
 とにかく植生の変化に驚かされた感のある"新宿中央公園"である。『レインボーマン』放映当時(1973年)の西新宿一帯の風景を上空から撮影したものがある。これを見ると公園内の樹木がまだ小さく、地面に敷かれた砂利が殊更目立つ。現在ではドッシリと太く大きく生長した樹木が木陰をつくり、森林浴を楽しむに充分な緑を称えている。
 なお、本レポート執筆にあたり、新宿区環境土木部様より、貴重なご助言と資料「新宿土木30年のあゆみ」のご提供を賜りました。新宿区環境土木部様には、心よりお礼を申し上げます。