トップへ 新着情報へ インタビューへ 特別企画へ 交流室へ リンクへ
 
○こちら特撮情報局 特撮ロケ地巡り
 
 第18回 特撮ロケ地レポート 『愛の戦士 レインボーマン』
第24・36・37話ほか ロケ地 東京都世田谷区「世田谷区立総合運動場その2、陸上競技場横通路・噴水池」


『愛の戦士 レインボーマン』第24・36・37話ほかロケ地
東京都世田谷区「世田谷区立総合運動場その2、陸上競技場横通路・噴水池」


特派員:奥虹
取材日:2008年3〜4・6月某日

 今回は、東宝スタジオ・国際放映撮影所から程近い「世田谷区立総合運動場」内にある“陸上競技場横通路”と“噴水池”を紹介させていただく。「ダリンジャー氏を護るためデートの時間が取れない」というタケシに、偽淑江が「ダリンジャー氏のいる箱根まで連れていって欲しい」と哀願するシーン(第36話)、タケシの化身シーン(第36話)、オルガ・ロリータのコンビによるタケシ暗殺未遂シーン(第37話)、堀田に反発してガソリンスタンドを飛び出したタケシが全速力で噴水池を通り過ぎるシーン(第24話)などの撮影に使用されている。

◯『愛の戦士 レインボーマン』第36話「恋人は暗殺者」あらすじ

 
 強敵オルガ(演.藤山律子氏)・ロリータ(演.皆川妙子氏)との戦闘を回避したダッシュ7(演.水谷邦久氏)は、“ヨガの眠り”に襲われた。本部に帰還したオルガは“Xゾーン作戦”に必要な火薬倉庫をレインボーマンに爆破された責任を追及され、ミスターK(演.平田昭彦氏)から死刑宣告を受けるが、ロリータの直訴により挽回のチャンスを得る。目覚めたタケシは淑江(演.伊藤めぐみ氏)の誕生日祝いとしてブローチを渡していた。復讐に燃える形相でその様子を窺っていたオルガは人間複写装置で淑江に化けるが、付けていたヘアピンに過剰な電流を受け、こめかみに大火傷を負う。偽淑江となったオルガは電話でタケシを呼び出すことに成功。「ダリンジャー氏(演.オスマン・ユセフ氏)を護るためデートの時間が取れない」というタケシに、偽淑江は「ダリンジャー氏のいる箱根まで連れていって欲しい」と哀願する。偽淑江を振り切ったタケシはダッシュ7から5に、さらには6に化身しDAC戦闘機の攻撃をかわす。しかしDACとダッカーは尚も執拗にダリンジャー氏 の自動車を付け狙う。7は“念力バリア”で自動車ごとダリンジャー氏を護りきった。危機を脱したタケシは、偽淑江(オルガ)とレストランへディナーに出かける。テーブル下に落としたハンカチをタケシが拾う隙を突き、スープに毒物を盛った偽淑江は逃走。毒物で悶え苦しむタケシを児童遊園まで追って来た偽淑江は、正体を明かしタケシにとどめを刺そうとするが、ヤッパの鉄(演.山崎純資氏)が通りかかり、タケシは病院へ運び込まれる。看病する淑江がブローチを付けていることから、本物であると安心したタケシは、ダリンジャー氏の許へ駆けつけようとする。しかしその隙を突いて本物の淑江からブローチを奪ったオルガが、再び偽淑江としてタケシに接近。タケシはブローチの位置が左右逆になっていることから偽淑江の正体を見破る。オルガはロリータに救出され逃亡。本物の淑江は看護婦により保護された。タケシは淑江の傍にいてやりたい気持ちを抑え、ダッシュ5で羽田空港へ向かう。東南アジアとヨーロッパの調査団一行が乗る飛行機がダッカーに襲われた。5の活躍も虚しく二機はダッカーに撃墜される…。

◯『愛の戦士 レインボーマン』第37話「Xゾーン破壊命令!!」あらすじ

 
 東南アジアとヨーロッパ調査団が搭乗した飛行機が撃墜された。死ね死ね団戦闘機・ダッカーの仕業だ。アリシア連邦国機が次の標的にされたが、ダッシュ7は“太陽フラッシュ”でダッカーを撃墜せしめた。ミスターK(演.平田昭彦氏)はダッカー飛行隊責任者・キャシー(演.高樹蓉子氏)に撤退を認め、ダイアナ(演.山吹まゆみ氏)には“Xゾーン作戦”用の火薬調達を命令したが、苛立ちの収まらないキャシーは、レインボーマン暗殺を失敗してきたオルガ(演.藤山律子氏)・ロリータ(演.皆川妙子氏)を責め挑発する。その頃タケシ(演.水谷邦久氏)はひとり商店街を徘徊していた。DACが日本人に変装し暗躍している現状を憂い、通りかかった淑江(演.伊藤めぐみ氏)にすらオルガ(偽淑江)の姿を重ね怯えていたのだ。そんなタケシに淑江は「タケシさんはもっと強い人だったはず」と、励ますしか術がなかった。二人を尾行していたオルガは、公園で語り合うタケシ・淑江を消音銃で狙う。タケシは銃の標的を自分へと誘導すると一瞬の隙を突き7に化身、オルガにキックを喰らわせ退散させた。タケシは「信じられる女性(ひと)と少しでも永くいたい」と気持ちを吐露、淑江も笑顔でうなずいた。その頃ロリータは人間複写装置でDAC隊員をレインボーマン化し、本物と戦わせようと目論むが失敗。オルガ・ロリータのコンビでタケシ抹殺を遂行することを誓う。翌朝、公園を歩くタケシを オルガ・ロリータがバイクと銃で急襲、攻撃をかわすタケシに巻き込まれ、10人以上の通行人が巻き添えで死亡した。タケシは残虐な死ね死ね団への怒りを新たにする。一方ミスターKは広島型原爆と同等の破壊力をもつ“スーパーニトロン”を用いた“Xゾーン作戦”を着々と進行させていた。多量の石鹸・石炭を原材料とするスーパーニトロン確保のため、ダイアナには石鹸の買い占めを、キャシーには石炭発掘人員の確保を命じる。経済恐慌のなか、破格の支度金での炭坑夫募集に人々は殺到、そのなかにヤッパの鉄(演.山崎純資氏)の姿もあった。淑江を誘拐しタケシを爆破地点まで誘導しようと目論むオルガ・ロリータだが、肝心の脅迫状を“どんぐり園”の前に落とし、誘拐も未遂に終わる。巡り巡って鉄から脅迫状を入手したタケシは、罠と知りながら7に化身し猫岳山頂へ向かう。しかしオルガ・ロリータが空を往くレインボーマンを銃で狙っていた…。

◯陸上競技場横通路


  体育館と陸上競技場を結ぶ歩行者通路。競技場に隣接してアーチェリー場・メインスタンド・陸上競技場管理事務所などがある。
 「ダリンジャー氏を護るためデートの時間が取れない」というタケシに、偽淑江が「ダリンジャー氏のいる箱根まで連れていって欲しい」と哀願するシーン(第36話)、タケシの化身シーン(第36話)のほか、オルガが運転するバイクに相乗りしたロリータが、白昼ヤマトタケシを暗殺するため、タケシの近くを歩いていた市井の 人々を次々と射殺する(第37話)…というショッキングなシーンが撮影された。
 また当該通路では『帰ってきたウルトラマン』第37話の撮影も行なわれている。

 
陸上競技場横通路

タケシ暗殺未遂シーン(第37話)が撮影された通路。左手に競技場・アーチェリー場、右手に体育館がある。正面を進むとテニスコートへ出る。手前のスペースでは、ダッシュ7とサイボーグ・ダイアナの最終決戦(第46話)のワンシーンも撮影されている。

 

角の石垣の位置から、タケシが歩いているのを確認したオルガ・ロリータは、バイクに相乗りし暗殺を目論む(第37話)。

角の石垣
 
陸上競技横通路から噴水地方向

陸上競技場横通路から噴水池方向をみる。オルガ・ロリータが銃とバイクで襲って来るのを、タケシの視点でみると、こういうアングルになる。

 
◯『愛の戦士 レインボーマン』第24話「男の約束」あらすじ

 十字架に磔にされヘリコプターで海堡基地へ運ばれていたダッシュ7(演.水谷邦久氏)は、“雷光の術”で海に脱出したが、依然として父・ヤマト一郎(演.小泉博氏)は死ね死ね団に囚われたままだった。ヤッパの鉄(演.山崎純資氏)が偶然タケシを救出した頃、マイクロフィルムの在処を頑として吐かない一郎は死ね死ね団の拷問を受けていた。事態打開のためミスターK(演.平田昭彦氏)はキャシー(演.高樹蓉子氏)にヤマトたみ(演.本山可久子氏)・みゆき(演.石川えり子氏)親子の誘拐を命じた。家族が死ね死ね団に連れ去られんとした時、帰宅途中のタケシがそれを発見しダッシュ7に化身、キャシー(演.高樹蓉子氏)達を退散せしめた。タケシは母にアジトで父・一郎と会ったことを伝え、死ね死ね団の海堡基地へ乗り込み父を救おうとしていることを語るが、母は「生きていればいつか父に会える。生命を縮めるような不幸はやめておくれ」と号泣する。その頃ミスターKは、配下の殺人プロ6人すべてを失った魔女イグアナ(演.塩沢とき氏)にレインボーマン抹殺を命じ、イグアナも必ずやレインボーマンの息の根を止めることを誓う。いかにして父を救出するか苦悩するタケシの前に、イグアナによって人間態となった愛猫(化け猫)が襲いかかってきた。タケシは7に化身し“不動心の術”“遠当ての術”で対抗するが、化け猫の鋭い牙と爪に苦戦する。辛うじて危機を逃れ堀田(演.黒木進氏)のガソリンスタンドへやって来たタケシは、堀田に苦悩を吐露する。堀田は親子の情に溺れ大切な決断をすることが出来ないタケシの弱さを叱り励ます。しかし迷いを吹っ切ることの出来ないタケシは堀田に反発するほか術を知らなかった。10年前、父・一郎と遊んだ想い出の遊園地へやってきたタケシは、父と交わした「男はどんな時でも正しい勇気を忘れない」という“男と男の約束”を反すうしていた。そんなタケシの隙を突き、女殺し屋・マリンダ(演.水野マリア氏)が急襲してきたが、ダッシュ5の“フラッシュ攻撃”で一蹴。しかし息つく間もなく今度は魔女イグアナが5を襲ってきた…。

◯噴水池

 
  体育館と児童公園を結ぶ位置にあるオブジェ付きの噴水。『レインボーマン』撮影当時はまだオブジェは設置されておらず、外周壁付近に設置された数十本のパイプから池中央へ向かって、水が放物線状に飛び出すタイプのものであった。
 親子の情に溺れ大切な決断をすることが出来ないタケシの弱さを叱り励ます堀田。その堀田に反発してガソリンスタンドを飛び出したタケシは、全速力で噴水池を通り過ぎる(第24話)。
 なお、この噴水池は『ウルトラセブン』第6・37話、『ウルトラマンタロウ』最終回、『傷だらけの天使』第26話などの撮影にも使用されている。

 

体育館前から大蔵通り方面に噴水池をみる。噴水池の後方通路には薔薇などの花壇が整備されている。画像左後方奥に『レインボーマン』第11・37・46話などの撮影で使用された児童遊園がある。

体育館前から大蔵通り方面に噴水池をみる
 
噴水池前から体育館玄関を望む

噴水池前から体育館玄関を望む。第46話、対峙するダッシュ7とサイボーグ・ダイアナのショットは、この位置から撮影された。

 

大蔵通りから体育館方面に噴水池をみる。

噴水池
 
◯あとがき

 
 世田谷区立総合運動場シリーズ第二弾。平素大変お世話になっている、Qちゃん様の特撮ロケ地探求サイト「光跡」で、1970年代の傑作アニメ『マジンガーZ』に登場する「光力科学研究所」にも似た、白いピラミッドのような建築物(体育館)や噴水池を確認させていただいて、1970年代ウルトラシリーズでの使用頻度の高いことに、改めて驚かされた。円谷プロや東宝撮影所から近距離であるため、使い勝手がよいのと、おそらくは所有者である世田谷区から、比較的容易にロケ使用の許可が下りたのでは?…と想像する。
 体育館横の通路では、オルガが運転するバイクに相乗りしたロリータが、白昼ヤマトタケシを暗殺するため、タケシの近くを歩いていた市井の人々を次々と射殺する(第37話)…というショッキングなシーンが撮影された。これは六鹿英雄監督回の特徴であり、『レインボーマン』と同時期に撮影された『ワイルド7』にも顕著だが、エキセントリックなアングルおよび殺戮シーン描写に凝ったうえで、当事者の心理描写に力点を置く…という六鹿監督独特の演出カラーが、当該シーンでも踏襲されている。