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○こちら特撮情報局 特撮ロケ地巡り |
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○ 第19回 特撮ロケ地レポート 『愛の戦士
レインボーマン』
第11・36・37・46話ほかロケ地 東京都世田谷区「世田谷区立総合運動場その3、児童遊園」 |
『愛の戦士 レインボーマン』第11・36・37・46話ほかロケ地
東京都世田谷区「世田谷区立総合運動場その3、児童遊園」
特派員:奥虹
取材日:2008年3〜4・6月某日
今回は、東宝スタジオ・国際放映撮影所から程近い「世田谷区立総合運動場」内にある“児童遊園”を紹介させていただく。ヤマト家に届けられた時限爆弾をダッシュ6(土の化身)が処理するシーン(第11話)、オルガによるタケシ暗殺未遂シーン(第37話)、ダイアナが公園内でトレーニング中の体操選手らにボーグαの弾丸を発射するシーン(第46話)などが撮影された。
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◯『愛の戦士
レインボーマン』第11話「罠にかけろ!」あらすじ |
死ね死ね団員の銃を奪い反撃する堀田・北村だが、北村は背後から被弾してしまう。ミスターKはキャッツアイ輸送および都民大量虐殺に失敗した幹部メイジャー・アルを処刑、海堡(ほ)基地に残されたキャッツアイを用いて大量虐殺作戦を遂行するよう、ダイアナとメイジャー・ブルに命じた。その頃ヤマト家では、家族や水野正造(演.村田正雄氏)・淑江(演.伊藤めぐみ氏)親子によってタケシの誕生日会が開かれていた。母・たみ(演.本山可久子氏)はタケシが死ね死ね団との死闘で疲労困憊とも知らず、近ごろ様子のおかしい息子を叱咤する。そんな折、差出人不明の小包がヤマト家に届けられた。それが時限爆弾であると即座に見抜いたタケシは、独り近所の児童遊園へ急行、ダッシュ6(土の化身)“地雷震の術”で爆弾を処理する。タケシは家族や水野親子に死ね死ね団の謀略について語るが、家族らは突飛だと一笑に付す。病院の堀田から北村刑事殉職の報せが届き、さらには窓の外からアーチェリーの矢で攻撃されるに至り、死ね死ね団の存在を確信し怯える妹・みゆき(演.石川えり子氏)たち。そんな家族らにタケシは「自分たちの力で闘うしかない」と告げる。タケシは淑江に死ね死ね団アジトと思しき“ファッションショップK”への潜入捜査を依頼。淑江はそれを快諾し、買物客を装い“ファッションショップK”へ赴く。一方タケシはダッシュ5(黄金の化身)となり、上空から海岸線沿いに懸命の探索を続ける。再び“ファッションショップK”に潜入した淑江だが、オーナーに化けたミスターKに看破されダイアナに拉致される。拉致の報せを受けたタケシと正造は、それぞれ“ファッションショップK”に突入するが、そこには残酷な罠が仕掛けられていた…。
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◯『愛の戦士
レインボーマン』第37話「Xゾーン破壊命令!!」あらすじ |
東南アジアとヨーロッパ調査団が搭乗した飛行機が撃墜された。死ね死ね団戦闘機・ダッカーの仕業だ。アリシア連邦国機が次の標的にされたが、ダッシュ7は“太陽フラッシュ”でダッカーを撃墜せしめた。ミスターK(演.平田昭彦氏)はダッカー飛行隊責任者・キャシー(演.高樹蓉子氏)に撤退を認め、ダイアナ(演.山吹まゆみ氏)には“Xゾーン作戦”用の火薬調達を命令したが、苛立ちの収まらないキャシーは、レインボーマン暗殺を失敗してきたオルガ(演.藤山律子氏)・ロリータ(演.皆川妙子氏)を責め挑発する。その頃タケシ(演.水谷邦久氏)はひとり商店街を徘徊していた。DACが日本人に変装し暗躍している現状を憂い、通りかかった淑江(演.伊藤めぐみ氏)にすらオルガ(偽淑江)の姿を重ね怯えていたのだ。そんなタケシに淑江は「タケシさんはもっと強い人だったはず」と、励ますしか術がなかった。二人を尾行していたオルガは、公園で語り合うタケシ・淑江を消音銃で狙う。タケシは銃の標的を自分へと誘導すると一瞬の隙を突き7に化身、オルガにキックを喰らわせ退散させた。タケシは「信じられる女性(ひと)と少しでも永くいたい」と気持ちを吐露、淑江も笑顔でうなずいた。その頃ロリータは人間複写装置でDAC隊員をレインボーマン化し、本物と戦わせようと目論むが失敗。オルガ・ロリータのコンビでタケシ抹殺を遂行することを誓う。翌朝、公園を歩くタケシを
オルガ・ロリータがバイクと銃で急襲、攻撃をかわすタケシに巻き込まれ、10人以上の通行人が巻き添えで死亡した。タケシは残虐な死ね死ね団への怒りを新たにする。一方ミスターKは広島型原爆と同等の破壊力をもつ“スーパーニトロン”を用いた“Xゾーン作戦”を着々と進行させていた。多量の石鹸・石炭を原材料とするスーパーニトロン確保のため、ダイアナには石鹸の買い占めを、キャシーには石炭発掘人員の確保を命じる。経済恐慌のなか、破格の支度金での炭坑夫募集に人々は殺到、そのなかにヤッパの鉄(演.山崎純資氏)の姿もあった。淑江を誘拐しタケシを爆破地点まで誘導しようと目論むオルガ・ロリータだが、肝心の脅迫状を“どんぐり園”の前に落とし、誘拐も未遂に終わる。巡り巡って鉄から脅迫状を入手したタケシは、罠と知りながら7に化身し猫岳山頂へ向かう。しかしオルガ・ロリータが空を往くレインボーマンを銃で狙っていた…。
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◯『愛の戦士
レインボーマン』第46話「サイボーグ奴隷部隊」あらすじ |
九州のサイボーグ工場地下、ドクター・ボーグ(演.長沢大氏)は「私が死んでも私の執念は死なない」という言葉を遺して爆死した。ミスターK(演.平田昭彦氏)はボーグが遺した“ボーグα(アルファ)”のテストをダイアナ(演.山吹まゆみ氏)に命じる。警察官に化けたDAC隊員は刑務所内に潜入すると、囚人たちにボーグαを発射。たちまちサイボーグの屈強な肉体を得た囚人サイボーグたちは、刑務所を脱走すると宝石店へ押し入りダイヤモンドを強奪した。警官たちは囚人サイボーグにより全滅。駆けつけたダッシュ7(演.水谷邦久氏)は“サンランプ”で辛うじて対抗、ボーグαの効力が無力化し囚人たちは倒れる。7は“ドクター・ボーグ
の執念”が「ボーグαによる日本人のサイボーグ奴隷化」であることを知り、愕然とする。その頃ミスターKは奴隷部隊の指揮をダイアナに命令。ダイアナは体操選手たちにボーグαを発射し、着々とサイボーグ奴隷部隊の隊列を増やしていた。ダイアナはタケシを国際化学工場へ誘導しサイボーグと戦わせようとするが、7はサイ
ボーグ奴隷部隊が罪なき人々であることに躊躇し、手を下せない。膠着状態の隙を突いたゴッドイグアナ(演.曽我町子氏)は、7を魔界ゾーンに幽閉。「この手で殺し、我が娘・イグアナにその血を与え蘇えらせる」と豪語する。杖から発する火炎で攻撃してくるゴッドイグアナに対し、ダッシュ7は3(水の化身)と6(土の化身)のレインボークロスで対抗。“水冷砲の術”“地雷震の術”で圧倒すると、国際化学工場へと戻る。ダイアナは時限装置でサイボーグ奴隷もろとも7を爆死させようとするが失敗。最後の手段として、自らの
身体をメルトダウンさせ7と共に自爆しようとする。しかし7の放った“太陽の剣”が首に刺さると爆死し果てた。レインボーマンの生き血に執着するゴッドイグアナは、再び7を魔界ゾーンに幽閉。7は“サンランプ”が見切られた絶体絶命のなか、ゴッドイグアナを6本の“太陽の剣”で囲むとサンランプを照射、太陽光を増幅させ魔界ゾーンを脱出する。怒るゴッドイグアナは自らの生き血から分身・バッドシスターを誕生させると、7を追わせた…。
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◯世田谷区立総合運動場内、児童遊園 |
総合体育館前の敷地4千平方メートルにつくられた児童公園。昭和42(1967)年4月完成。児童遊園と隣接する砧公園には大蔵通りが走り、それを歩道橋である「青空橋」で結んでいる。現在は「財団法人
世田谷区スポーツ振興財団」が施設の管理と運営事業をおこなっている。『レインボーマン』撮影時の園内には、ローラースケート場用の鉄パイプを組み合わせて作った「迷路」、丸太を組んだ5ヶ所の「ピラミッド」、ブランコ・すべり台・鉄棒・砂場・グローブジャングルなどの遊具設備があった。当時「丸太ピラミッド」は大蔵通り側に、「迷路」は体育館側にあった。なお「ブランコ」は撮影当時とは位置が異なっている。
タケシ・淑江が児童遊園で語らうシーンで、二人は滑り台から丸太ピラミッドへ移動。タケシは淑江に「死ね死ね団が誰かに化けて俺を殺そうとしている」と不安を吐露する。復讐心に燃えるオルガは、死角である「迷路」の鉄パイプの中からタケシの射殺を試みた(第37話)。タケシの回想シーン(幼少時代)、サッカーボール
を道路にこぼしたタケシ少年は、妹・みゆきにボールを拾ってこさせようとするが、みゆきは自動車に左脚をひかれてしまう。このシーンは児童公園とそれに隣接する公園内道路が撮影に使用されている(第1話)。差出人不明の小包がヤマト家に届けられ、それが時限爆弾であると即座に見抜いたタケシは独り近所の児童遊園へ急行、ダッシュ6(土の化身)“地雷震の術”で爆弾を処理する(第11話)。レストランで毒を盛られ悶え苦しむタケシを、オルガ扮する偽淑江が銃で狙う(第36話)。ダイアナは公園内でトレーニング中の体操選手らにボーグαの弾丸を発射、サイボーグ奴隷部隊を増やしていった(第46話)。
なお、この児童遊園は『ウルトラマンレオ』第31・44話、『傷だらけの天使』
第24話などの撮影でも使用されている。
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←児童遊園に隣接する駐車場横にある公衆トイレ(近年新設されたもの)。現在の駐車場スペースは『レインボーマン』撮影当時、まだ児童遊園スペースの一部であった。第37話、オルガに射殺されそうになったタケシは、このトイレの前でダッシュ7に化身した。
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↑遊園内南側の風景。「ブランコ」は『レインボーマン』撮影当時とは位置が異なっている。後方には、体育館に繋がるメイン通路と自由広場・野球場がある。
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↑遊園内北側の風景。引退したSLの懐古的な姿が来園者の心を和ませてくれる。第37話、銃で狙うオルガが身を潜める「迷路」は左に、タケシと淑江が語らう「丸太ピラミッド」(現在は撤去済)は右にあった。後方には厚生年金スポーツセンター(ウェルサンピア東京)のゴルフ練習場がある。
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→遊園内東側の風景。後方は大蔵通り。大蔵通り上に架かる青空橋は、劇中映り込んでいない。『レインボーマン』の撮影から36年が経過し、遊園内の樹木もかなり太くなった。
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↑遊園内西側の風景。「迷路」の位置は『レインボーマン』撮影当時と変わらない。当時はこの位置から体育館を確認できたが、植生の変化により現在は(樹木が整枝される)冬場以外は確認しにくい。
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↑大蔵通り上に架かる青空橋より児童遊園を俯瞰で撮る。第36話で偽淑江(オルガ)が、また第37話でオルガがタケシに向けて弾丸を発射した「丸太ピラミッド」は、当時大蔵通り側にあった。
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←タケシの回想シーン(幼少時代)、サッカーボールを道路にこぼしたタケシ少年は、妹・みゆきにボールを拾ってこさせようとするが、みゆきは自動車に左脚をひかれてしまう。このシーンは児童公園とそれに隣接する公園内道路が撮影に使用されている(第1話)。偽淑江(正体はオルガ)に銃で狙われ
たタケシは道路へ飛び出し、ヤッパの鉄が運転する自動車に轢かれそうになる(第36話)。
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◯あとがき |
世田谷区立総合運動場シリーズ第三弾。この児童遊園も同じ世田谷区内にある東宝・国際放映・円谷プロ緒作品の撮影で多用されている。殆どのロケ地探訪で思うことだが、樹の成長によって撮影ポイントの風景が若干変わって見える。茂った枝葉や太くなった幹が撮影ポイントの奥行きを変えるせいなのかも知れない。
当該児童遊園は昭和42(1967)年4月の完成からおよそ40年間に、一部遊具設備が適宜入れ替えられてきた。『レインボーマン』撮影時、設置から6年目の「ピラミッド」は、タケシと淑江・偽淑江(オルガ)の絡みで多用されたが、丸太(木製)であるため雨風による腐食が早く、後年撤去となっている。一方、劇中タケシを銃で狙うためオルガの隠れ蓑になった「迷路」は、強固なローラースケート場用鉄パイプを組み合わせて作られているため、設置から40余年経った現在も現役で活躍中である。
児童遊園は子どもの頃に還ったような、心が裸になるような場所だと思う。そういう場所での暗殺シーンを用意することで、死ね死ね団の情け容赦ない残忍性や緊迫感が存分に表現された。実際、暗殺者とヒーローが遊具間で遣り合う様は、かなりエキセントリックだった。
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