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○こちら特撮情報局 特撮ロケ地巡り |
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○ 第22回 特撮ロケ地レポート 『愛の戦士
レインボーマン』
第12・38・49話ほかロケ地 神奈川県川崎市多摩区「多摩川宿河原周辺」 |
『愛の戦士 レインボーマン』
第12・38・49話ほかロケ地 神奈川県川崎市多摩区「多摩川宿河原周辺」
特派員:奥虹
取材日:2008年3〜4・6月某日
今回紹介させていただくロケ地は、キャシーとDACが、木の上にスーパーニトロンの起爆装置とアンテナを設置するシーン、河原で爆発音を聞いたタケシが、園児たちを庇いうつ伏せになっている淑江を発見し、声をかけるシーン(共に第38話)、DACがダッシュ7にバズーカ砲を発射するシーン、ダッシュ5&7とミスター
K・DACの戦闘シーン(第49話)などの撮影に使用された。
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◯『愛の戦士
レインボーマン』第38話「A.B.C.Dライン大爆発」あらすじ |
スーパーニトロン爆破テストが行なわれる山頂へ誘き出されたダッシュ7(演.水谷邦久氏)。地上からオルガ(演.藤山律子氏)・ロリータ(演.皆川妙子氏)が特殊銃で攻撃してきたため、7が脱出する間もなく山頂のスーパーニトロンは大爆発を起こした。その頃ミスターK(演.平田昭彦氏)は“日本破壊工作作戦”のため、モグラートでA〜Dの4地点にスーパーニトロンを設置するようダイアナ(演.山吹まゆみ氏)に命令、キャシー(演.高樹蓉子氏)には4地点に起爆装置とアンテナを設置するよう指示していた。山頂での爆発に巻き込まれたダッシュ7は、4(草木の化身)の能力で木の葉のようになって危機を脱出。負傷したタケシは自宅で
淑江(演.伊藤めぐみ氏)・みゆき(演.石川えり子氏)に介抱される。モグラートが地下水脈を横断した結果、掘り抜かれた地下が陥没しA地点の村落が壊滅。キャシーはA地点に起爆装置を設置することを断念、退却した。タケシはダッシュ7から6に化身すると、モグラートの掘った穴を発見し探索。一方キャシーとDACはC地点に到着、木の上にスーパーニトロンの起爆装置とアンテナを設置していた。偶然通りかかったタケシを発見したキャシーはダッカーに攻撃を指示。タケシは7に化身しダッカーに立ち向かうが、体力が回復していないためダッカーのビーム攻撃に追い詰められる。しかし“太陽フラッシュ”で反撃しこれを駆逐する。その頃、避難壕に退避していたオルガ・ロリータは無事本部に帰還しKに事態を報告。どんぐり園の外から淑江・園児たちの様子を微笑ましく見つめるタケシは、子どもたちを自分独りの力で救えるか悩む。タケシの心配をよそに、無邪気にラジコン飛行機で遊ぶ淑江とマー坊たち(演.梶浩昭氏)。木の枝にラジコン飛行機を引っかけてしまった
マー坊は、スイッチのON・OFFを激しく繰り返すが、その結果起爆装置が感応し爆破、マー坊は死亡する。マー坊の死因から現場に残されたアンテナの意味に気づいたタケシは、別地点で起爆装置とアンテナを発見、防衛にあたっていたDACと衝突する。DACを駆逐するもオルガ・ロリータと対峙した7は、オルガのビーム銃で目をつぶされ…。
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◯『愛の戦士
レインボーマン』第49話「燃えろ 大勝負!」あらすじ |
オルガら四大幹部を葬ったレインボーマン(演.水谷邦久氏)は、「彼女たちもミスターK(演.平田昭彦氏)の野望の犠牲者である」と悼む。寵愛するオルガを失ったミスターKは怒りをあらわにし、DAC隊にレインボーマン殲滅の命令を下す。河原を歩くタケシを発見したDAC隊はマシンガン・ナイフ・手榴弾でタケシを攻撃。ダッシュ7に化身したタケシは“遠当ての術”で対抗するが、多勢に無勢で苦戦する。7は一旦空中に逃れるが、マグネット・チェーンを撃たれ、雁字がらめのまま地上に墜ちる。“太陽の剣”で反撃する7に対し、参戦したマスクドKが放った電流ロープと鞭が圧倒、とうとう7は拘束される。「日本人は目先の利益しか考えない。そんな奴らを護る価値がどこにある?」と問うKに対し、7は「人間の真心を信じる」と答える。その様子を上空から発見したゴッドイグアナ(演.曽我町子氏)は、7を魔界ゾーンに拘束。困惑するKはゴッドイグアナに共闘を持ちかけるが、ゴッドイグアナは「(Kは)娘・イグアナの仇の片割れだ」となじり共闘を拒否、あまつさえDACを催眠術で翻弄したまま魔界ゾーンに帰還する。拘束していた7を矢で攻撃するゴッドイグアナ。7はダッシュ5(黄金の化身)に化身すると、“黄金フラッシュ”の太陽エネルギーでゴッドイグアナを本来の姿(老婆)に戻し、その隙に河原へ帰還する。5は“黄金フラッシュ”でKとDACを翻弄すると、7で肉弾戦を展開
。圧され気味のKはDACを残し、背中にロケットを背負いアジトまで逃亡、7もそれを追った。アジトでKを待っていたのは、死ね死ね団アフリカ基地から派遣された、ブードゥー魔術を駆使する魔術師・ドクロマンであった。「魔術により蝿へと姿を変え、換気口からアジトへ入り込んだ」というドクロマンの実力に懐疑的なKだが、
“透視の術”でゴッドイグアナの隠れ処を探し当てたドクロマンに、ゴッドイグアナ討伐を命じる。一方7はヨガの眠りに襲われ草むらで石化、追跡していたDACがそれを発見しKに報告する。ゴッドイグアナを隠れ処の瓢箪から追い出そうとするドクロマンだが、ゴッドイグアナはそれを全く相手にせずに、タケシの処刑場所へと移動。再びタケシを魔界ゾーンに拘束した。それを追ってきたドクロマンとゴッドイグアナが衝突、両者の実力は伯仲していた。一方タケシは7に化身し魔界ゾーンを脱出、Kと相対する。
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◯多摩川宿河原周辺 |
川崎市内、府中街道および多摩川に並走する多摩沿線道路に挟まれた一帯。地番の一部は多摩川の対岸に位置する。1629(寛永6)年に完成した宿河原取り入れ口により、豊富な用水に裏打ちされた稲作が盛んだったが、戦後急速に進んだ都市化や農地の減少によって、現在では用水の利用は殆どなくなりつつある。兼好法師の「
徒然草」の一節「宿河原というところにて…」という虚無僧の仇討の話は、この舞台が川崎市宿河原だという説がある。取り入れ口から用水までの両岸約2キロメートルにわたって続き、四百本余りの染井吉野からなる桜並木は殊に美しく、春には観光客や地元住民の目を楽しませている。
『レインボーマン』の撮影で多用されたのは、JR登戸駅北口に程近い二ヶ領宿河原堰(宿河原1丁目)からNEC管理グランド(宿河原4丁目)までの、約1キロメートル。ただし二ヶ領宿河原堰に隣接する“船島稲荷神社”境内と農地は、撮影に使用されていない。二ヶ領宿河原新堰の建設により堰周辺が整備され、レインボーマン・DACの戦闘シーンが撮影された河原の植生は若干変化。また劇中タケシが疲労困憊で歩く(多摩沿線道路に隣接する)土手は、アスファルトで舗装され“多摩川青少年サイクリングコース”となったが、その他の撮影ポイントはおおよそ36年前の景色を残している。
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←二ヶ領宿河原堰に隣接する位置にある“船島稲荷神社”。『レインボーマン』第38話、DAC隊が作業をするシーンでは、神社裏手にある針葉樹がちらりと映り込んでいる。同神社では『仮面ライダー』第37話「毒ガス怪人トリカブトのG作戦」の撮影が行なわれている。
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→第38話、爆破音(マー坊のリモコンに感応して起爆装置が爆破)に気づいたタケシが、土手から飛び降りた位置にあった高さ50センチメートル程度の石垣は、“船島稲荷神社”と“二ヶ領せせらぎ館”を繋ぐ位置に現在も存在する。
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←“船島稲荷神社”裏にあるヤブ道。河原で爆発音を聞いたタケシは、園児たちを庇いうつ伏せになっている淑江を発見し、この場所で声をかける(第38話)。マスクドKがDACに“ダッシュ7包囲”の指示を出すシーン(第49話)もこの辺り。
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→電流ロープで拘束されたダッシュ7がミスターKに鞭で打たれるシーン、上空からダッシュ7を発見したゴッドイグアナがKとDACの前に姿を現すシーン(共に第49話)は、水門に隣接するこの場所で撮影された。
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←多摩沿線道路に隣接する土手。現在はアスファルトで舗装され、“多摩川青少年サイクリングコース”になっている。モグラート通過地点を探索し疲労したタケシは、この土手を力なく歩いていたところをキャシーたちに発見され、ダッカーの攻撃を受ける(第38話)。行方不明の兄・タケシの身を案じて堰で佇むみゆきを誘拐するため、キャシーたちはこの小道を自動車に乗って堰にやってきた(第12話)。
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↑土手と河原の中間にある林道で、DACによる起爆装置・アンテナの設置シーン、マー坊が木に引っ掛かったラジコン飛行機スイッチのON・OFFを激しく繰り返すシーン(共に第38話)が撮影されたと思われる。DACがダッシュ7にバズーカ砲を発射するシーン、ダッシュ5とミスターK・DACの戦闘シーン、およびダッシュ7とミスターK・DACの戦闘シーン(第49話)は、この奥にある河原との隣接地で撮影された。
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←淑江とマー坊ら園児たちは、この場所で無邪気にラジコン飛行機で遊ぶ(第38話)。現在はNECが管理するテニスコートとグランドになっている。
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◯あとがき |
『レインボーマン』のクランクアップが1973年7月頃。そのおよそ1年後の1974年9月に、未曾有の水災害を生んだ多摩川堤防決壊が起きた。東京消防庁狛江消防署・編集による「濁流に挑む
〜多摩川決壊と水防活動記録〜」に、その経過が詳細に報告されている。建設省(当時)は「川幅いっぱいに敷設された農業用の二ヶ領宿河原堰(川崎市管理)によってブレーキをかけられた濁流が、堰に沿って直角に左岸の狛江側の堤防に激突、幅十数メートルもある堤を突き崩した」…と分析している。宿河原の旧堰によって
狛江側に押し寄せた濁流は、一旦狛江市猪方の19棟を飲み込み、S字を描くように対岸の宿河原を通過、再び多摩川中央にその軌跡を描いた。
『レインボーマン』第49話の殆どのシーンが撮影された、多摩川と多摩沿線道路をはさむ宿河原の土手一帯は、まさしくかの濁流の軌跡と隣り合っていた。自衛隊の堰爆破による破片飛散という被害はあったものの、宿河原の土手一帯は、甚大な被害の対岸・狛江側や後年新たに建設された二ヶ領宿河原堰と比較しても、『レインボーマン』撮影当時の風景を多く留めている。機会があればぜひ現地へ出かけていただき、『レインボーマン』キャスト諸氏のご熱演があり、そしてまたスタッフ諸氏の叡智が結集された撮影場所を散策していただきたいと思う。
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