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○こちら特撮情報局 特撮ロケ地巡り
 
第29回 特撮ロケ地レポート 『愛の戦士 レインボーマン』
第1・2話ロケ地ほか 東京都狛江市「多摩川土手」


特撮ロケ地レポート 『愛の戦士 レインボーマン』
第1・2話ロケ地ほか 東京都狛江市「多摩川土手」


特派員:奥虹
取材日:2008年3月某日

 今回紹介させていただくロケ地は、明日インドへと旅立つヤマトタケシが、妹・みゆきをおぶり「必ず脚を治してやる」と、強く心に誓うシーンに使用されている。

◯『愛の戦士 レインボーマン』第1話「奇蹟の聖者」あらすじ

 
  印パ戦争の痛ましい戦場に“下町の黒豹”と呼ばれたヤマトタケシ(演.水谷邦久氏)の姿があった。聖人ダイバ・ダッタ(演.井上昭文氏)に会うため日本からインドへやって来たのだ。クリシュナガール国境からヒマラヤの麓へ行こうとするタケシは、はずみからインド兵をぶちのめしジープを奪う。[以下回想シーン/東京都高校レスリング大会。城東高校代表として決勝戦に挑んだタケシは、“必殺回転おとし”で対戦相手を再起不能にする。キャプテン・吉岡(演.倉田始氏)からレスリング部を除名されたタケシは、国際プロレスラーを目指す。砧給油所を訪れたタケシに先輩の堀田(演.黒木進氏 現.小野武彦氏)は、「インドにダイバ・ダッタという超能力者がいる。世界で唯一奇蹟をおこない、七つの能力を持つ超人に変身する人物」と語る。幼少期に交通事故で妹・みゆき(演.石川えり子氏)の左脚を麻痺させてしまったタケシは、治療費を稼ぐためダイバ・ダッタに弟子入りし国際プロレスラーの“剛力”を手に入れようと考えたのだ。明日インドへ旅立つタケシは、河原でみゆきを背負うと「必ず脚を治してやる」と心に誓う。母・たみ(演.本山可久子氏)もそんなタケシを黙って励ます] ゲリラと間違われたタケシは、パキスタン兵に腹部を撃たれ死線を彷徨う。その時空中から現れた聖人ダイバ・ダッタは、蘇生の術で重症のタケシを治す。まもなく寿命が尽きようとしていたダイバは、「東方から若い男が訪ねてくる」という仏のお告げを聴いていた。タケシが自分の後継者になる男かも知れないと直感したダイバは、「修行したければ山頂までついて来い」と誘う。険しい崖を荒々しく素手で登るタケシ。その時空中に浮かぶ神々しいレインボーマンの姿を見つけたダイバは、タケシこそが未来のレインボーマンであることを確信する…。

◯『愛の戦士 レインボーマン』第2話「レインボーマン誕生」あらすじ


  ダイバ・ダッタ(演.井上昭文氏)は断崖絶壁から落下したタケシ(演.水谷邦久氏)を救う。毎日薬草を煎じたスープを飲み、岩のうえで逆立ちし、岩場を走りまわる…。そんな基礎訓練の日々に辟易し、より実践的な修行を求めるタケシに、ダイバは火渡りや滝壺にある巨石を拾い上げる過酷な修行を命じた。タケシは妹・みゆきに「必ず脚を治してやる」と誓ったことを思い出し、厳しい修行の数々に耐えた。しかし妹の脚を治すためインドへやって来たはずのタケシは、いつの間にか名声を欲する私利私欲に溺れていた。ダイバはそれを叱咤し、タケシを印パ戦争の戦場へ連れて来る。無益な殺し合いをして傷ついた両陣営の兵士たちを、蘇生の術で次々と回復させるダイバ。「己が生命が尊いなら他人の生命も同じ。もとの平和な生活に戻れ」。兵士たちにそう諭すダイバの人類愛を目の当たりにしたタケシは、私利私欲に溺れそうになっていた自分を恥じるのであった。その頃堀田はヤマト家を訪ねていた。タケシにダイバ・ダッタの話をしたことを母親のたみに詫びると、みゆきには「(タケシは)必ず君の脚を治すために日本へ帰ってくる」と励ます。独り河原に立つみゆきは「脚なんて治らなくてもいいから、早く帰ってきて」と涙ぐむ。インドでは日々厳しい修行が続いていた。ダッシュ2(火の化身)に化身したダイバの“火炎の術”を、タケシはダッシュ3(水の化身)に化身し“水冷砲の術”で破る。最終的な修行を終えたタケシにダイバは、七化身の能力と5時間の休息を要する“ヨガの眠り”の秘密について語る。そして「勇気をもって東方の光となれ」という言葉を遺し、151歳の寿命を終える。落雷に撃たれ気絶したタケシの肉体に、いまダイバの魂が宿った。タケシはダッシュ7に化身すると日本へと向かった…。

◯多摩川(土手)

 
 山梨県塩山市・笠取山南面の水干沢を源流にして様々な支流を集め、羽田沖の東京湾に注ぐ、全長138キロメートルの一級河川。その流域は東京都が2区23市1村、神奈川県が1市、山梨県が1市2村にまたがり、1240平方キロメートルに及ぶ。 
 明日インドへと旅立つタケシは、妹・みゆきをおぶり「必ず脚を治してやる」と、強く心に誓う(第1話)。第2話では同一シーンがインサートされている。またここは『帰ってきたウルトラマン』第27・41話、『ウルトラマンA』第39話、『ウルトラマンタロウ』第1・5・38話、『轟轟戦隊ボウケンジャー』第7話などの撮影でも使用されている。

 
多摩川上流から下流方向を望む

多摩川上流から下流方向を望む。遠方左に確認できる白い建物が都立狛江高校校舎、その右に架かるのが多摩水道橋(世田谷通り)。1970年代は高台の道と並行する土手下の道(画像右)も使用頻度が高かったらしく、1970年代特撮諸番組内でもたびたび登場している。

 

都立狛江高校と五本松河原を結ぶ土手をアオリで撮影 その1
都立狛江高校と五本松河原を結ぶ土手をアオリで撮影 その2


都立狛江高校と五本松河原を結ぶ土手をアオリで撮影。このアングルだと対岸の建築物があまり映り込まないばかりか、丁度近影の人物が背景の夕陽に溶け込んでシルエットとなり、情緒的な画(え)になる。

◯あとがき

 
 個人的な話になるが、『レインボーマン』は第1クールのみ1970年代に鑑賞、2〜4クールは1990年代に補完した形になる。第1クール途中までED曲として使用されていた「ヤマトタケシの歌」のインパクトは、今も忘れられない。“ヒーローの本音・弱音”を敢えて歌詞にされた故.川内康範先生の意図がどこにあったのか…。それはもう今となっては想像の域を出ないけれど、おそらくは「人間誰もが弱さを持っていることを自覚しながら、その先に進まねばならない時がある」…ということではないかと想像する。自分の落ち度から妹の脚を不自由にしてしまったヤマトタケシの贖罪は、脆弱な精神の自分自身との戦いでもある。明日インドへと旅立つタケシが、妹・みゆきをおぶり「必ず脚を治してやる」と強く心に誓う劇中シーンは、夕陽の美しさと相まって、深く心に刻まれている。