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○こちら特撮情報局 特撮ロケ地巡り |
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○ 第9回 『愛の戦士
レインボーマン』
第10〜11話ほか ロケ地 東京都世田谷区「東宝スタジオ(砧撮影所/東宝撮影所)」 |
第9回 『愛の戦士 レインボーマン』
第10〜11話ほかロケ地 東京都世田谷区「東宝スタジオ(砧撮影所/東宝撮影所)」
特派員:奥虹
取材日:2008年3〜4月某日
今回は『レインボーマン』第10話「奴らを殺(け)せ!」、第11話「罠をかけろ!」ほかの撮影で使用された「東宝スタジオ(砧撮影所/東宝撮影所)」内のロケ・ポイントを紹介する。第10〜11話ではヤマトタケシが拉致されていた松尾精神病院(兼キャッツアイ倉庫)周辺として、仙川に近い敷地が撮影に使用されている。
なお、当該ロケ地については、Qちゃん様が管理される特撮ロケ地探求サイト「光跡」内、「撮影所(STUDIO)」に詳細な情報が画像入りで網羅されているので、ぜひご参照いただきたい(「光跡」管理人・Qちゃん様のご厚意によりリンク承認済み)。
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◯『愛の戦士
レインボーマン』第10話「やつらを殺(け)せ!」あらすじ |
死ね死ね団の協力者・川島医師(演.松本朝夫氏)はダイアナ(演.山吹まゆみ氏)と結託し、キャッツアイ漬けになっても死なないタケシ(演.水谷邦久氏)を特殊装置で狂死させようとしていた。病棟に放り込まれたタケシは本能的にヨガの眠りに入り、エネルギーを補給する。一方ミスターK(演.平田昭彦氏)は、タケシから死ね死ね団の秘密を聞かされた堀田(演.黒木進氏
現.小野武彦氏)・北村刑事(演.長島寛氏)殺害をダイアナに指示、堀田のガソリンスタンドにダイナマイトが仕掛けられるが、堀田の機転で団員の方が吹き飛ばされる。死ね死ね団の存在を確信した堀田・北村は、精神病院に拘束されたタケシの安否を懸念する。その頃ミスターKは村山貯水池にキャッツアイを大量投棄し、都民を大量狂死させる作戦に着手しようとしていた。キャッツアイの在庫を確認したダイアナは、用済みになった川島医師を殺害しようとするが、Kの命令で精神病院に立ち寄った堀田・北村を先に始末する作戦にシフトした。果敢にダイアナたちに挑む堀田・北村だったが、団員たちに圧倒され病院内に拘束される。正気に戻ったタケシはダッシュ7に化身、今まさにキャッツアイを盛られようとする堀田・北村を救助、逃亡したダイアナたちを追う。堀田・北村もレインボーマンを援護しながら脱出を試みる。キャッツアイ倉庫潜入に成功したダッシュ7は薬物を確保し、死ね死ね団の存在を白日のもとに晒そうとする。証拠隠滅のためダイアナたちは倉庫に火を放ち、レインボーマンはダッシュ3(水の化身)の“水嶺砲の術”で決死の消火にあたるも、倉庫は大爆発を起こした…。
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◯東宝スタジオ(砧撮影所/東宝撮影所 |
東宝スタジオは世田谷区成城・砧にある、東宝の映画およびテレビの映像撮影スタジオである。1932年、写真化学研究所(PCL)によって建設され、1937年、
PCLと京都J.Oスタヂオの合併により“東宝映画株式会社”から“東宝映画東京撮影所”と改称。さらに“東京宝塚劇場”と合併して“東宝株式会社”となった(以来“東宝撮影所”や“砧撮影所”などと呼称される)。1971年、“東宝スタジオ”に改称されて貸しスタジオとなる。
2004年以降はスタジオ・施設の最新化が急速に進んでいる。
『レインボーマン』第10・11話、死ね死ね団員たちとダッシュ7・堀田・北村刑事の戦闘シーンは、現在の仙川本ゲート側にあるアクターズセンターとプロダクションセンター、第7スタジオを結ぶスペースで撮影されたと思われる。これは当該シーンの背景にある「東宝ポストプロスタジオ」(当時のサウンドスタジオ。現在は東宝映画・東洋音響・東宝アドが入っている)の映り込み角度を、現在の東宝撮影所内地図を元に検証していった結果、そのように推察される。さらに撮影所事情についてお詳しい「光跡」サイト管理人・Qちゃん様に、『レインボーマン』映像によりポイントを確認していただいた。
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←現在のメインゲート。ゴジラのモニュメントの後方には、東宝とその関連会社の事務所が入るオフィスセンターが見える。
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→スタッフ・ルームや美術・装飾ルームなどがあるプロダクションセンターの壁には、名作映画「七人の侍」の侍が描かれている。かつて同センター辺りには瓦屋根の木造建築物があり、消防車などの撮影車両の倉庫として使用されていたとのこと。
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←メインゲートよりポストプロダクションスタジオを望む。画像右隅にある桜樹の辺りには、数年前まで守衛所があった(更に昔には現.大丸ピーコック駐車場辺りが守衛室であった)。
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→メインゲート前駐車場より、ポストプロダクションスタジオ(左奥)とプロダクションセンター(右奥)を望む。現在のプロダクションセンター辺りの位置で、ダッシュ7・堀田・北村と死ね死ね団員の格闘シーンが撮影されたと思われる。
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←旧.守衛所辺りから二ノ橋・第8スタジオ方面を望む。
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→第10スタジオ隣にある小プール。近年は「ローレライ」「海猿」などが撮影されている。『レインボーマン』の小型プロッブを用いた撮影は、今はなき大プールと並行して、この小プールでも行なわれたのであろうか。
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←変電所は第8・9スタジオ裏、仙川沿いの閑地にある。次々と新築される撮影所内のモダンな施設をよそに、ここでは
1960〜70年代の空気が感じられる。ここに古い準備室の出入口があるのは、昔、川向の特撮専用第11ステージと第8・9スタジオを結ぶ大きく幅のある橋があった名残。ゴジラなどもその橋から搬入されたとのこと。
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→“東洋一”と謳われるほど大規模な第8・9スタジオは、以前はひとつに繋がっていた。当該スタジオでは、近年「武士の一分」「椿三十郎」「海猿」「ALWAYS
続・三丁目の夕日」などが撮影された。
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←二ノ橋から仙川上流方向を望む。この辺りは桜の季節になると「桜まつり」で桜樹がライトアップされ、夜桜見物の人びとで賑やかになる。第10話、キャッツアイ倉庫が爆発し、任務に失敗したメイジャー・アルとダイアナが川沿いに逃走するのは、第8スタジオの辺り。劇中当該シーンに映り込んでいる白い壁は、現.東宝ポストスタジオ隣の現.駐車場辺り。
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○『愛の戦士
レインボーマン』第11話「罠にかけろ!」あらすじ |
死ね死ね団員の銃を奪い反撃する堀田・北村だが、北村は背後から被弾してしまう。ミスターKはキャッツアイ輸送および都民大量虐殺に失敗した幹部メイジャー・アルを処刑、海堡(ほ)基地に残されたキャッツアイを用いて大量虐殺作戦を遂行するよう、ダイアナとメイジャー・ブルに命じた。その頃ヤマト家では、家族や水野正造(演.村田正雄氏)・淑江(演.伊藤めぐみ氏)親子によってタケシの誕生日会が開かれていた。母・たみ(演.本山可久子氏)はタケシが死ね死ね団との死闘で疲労困憊とも知らず、近ごろ様子のおかしい息子を叱咤する。そんな折、差出人不明の小包がヤマト家に届けられた。それが時限爆弾であると即座に見抜いたタケシは、独り近所の児童遊園へ急行、ダッシュ6(土の化身)“地雷震の術”で爆弾を処理する。タケシは家族や水野親子に死ね死ね団の謀略について語るが、家族らは突飛だと一笑に付す。病院の堀田から北村刑事殉職の報せが届き、さらには窓の外からアーチェリーの矢で攻撃されるに至り、死ね死ね団の存在を確信し怯える妹・みゆき(演.石川えり子氏)たち。そんな家族らにタケシは「自分たちの力で闘うしかない」と告げる。タケシは淑江に死ね死ね団アジトと思しき“ファッションショップK”への潜入捜査を依頼。淑江はそれを快諾し、買物客を装い“ファッションショップK”へ赴く。一方タケシはダッシュ5(黄金の化身)となり、上空から海岸線沿いに懸命の探索を続ける。再び“ファッションショップK”に潜入した淑江だが、オーナーに化けたミスターKに看破されダイアナに拉致される。拉致の報せを受けたタケシと正造は、それぞれ“ファッションショップK”に突入するが、そこには残酷な罠が仕掛けられていた…。
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二ノ橋の後方にプロダクションセンターを望む。映り込んでいる緑色服の女性の後方は、数年前まで守衛所があった場所。画像左にある桜樹の後方あたりで、第10〜11話、ダッシュ7と死ね死ね団員の格闘シーンが撮影されたと思われる。
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←二ノ橋越しに東宝ポストプロスタジオ(当時のサウンドスタジオ。現在は東宝映画・東洋音響・東宝アドが入っている)を望む。『レインボーマン』の頃は“録音センター”と呼ばれた。特美の頃はサウンドスタジオの横に円谷英二氏が設計に関与された特撮専用の第11ステージがあり、更にその隣にプールがあった。
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→死ね死ね団員との格闘シーンの背景には、二ノ橋と奥に見える東宝舞台の建物を結ぶこのラインが映り込んでいる。ダッシュ7が空中回転するシーンの背景には、東宝舞台辺りの建物が映り込んでいる。
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←第8スタジオ側面には送電線が通っていることが解る。
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→第8スタジオと変電所を繋ぐ送電線の支柱。ペンキが重ね塗りされ年季を感じさせる。『レインボーマン』撮影の頃の支柱は、青や緑でペイントされていたようだ。
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←一ノ橋より左奥の第8スタジオと右奥の東宝舞台を望む。左手前には変電所があるが、そこにはいずれPPMセンターが建設される予定とのこと。
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→一ノ橋・仙川越しにアクターズセンターを望む。化身を解いたタケシは、ポストプロダクションスタジオ(サウンドスタジオ)からアクターズセンター方向へ歩いてくる。“キャッツアイ倉庫”として撮影された建物は、第7ステージと仙川の間(現アクターズセンター)辺りにあったが既に解体された。
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←一ノ橋より第7スタジオ方向を望む。左に塗装小屋、右に第7スタジオが見える。堀田・北村がダイアナを追って走る角は旧第7スタジオ。
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→第5スタジオの奥に第7スタジオとアクターズ・センターが見える。第5スタジオは『レインボーマン』当時、“第3・4ステージ”と呼称された。310
坪の第7スタジオでは近年、映画「犬神家の人びと」「西遊記」などが撮影された。アクターズ・センターはスタッフ・ミーティングルーム、立ち稽古のためのリハーサル・ルーム、衣装合わせやメイクのためのフィッティング・ルーム、休憩のためのキャスト・ルームなどが完備されている。
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◯あとがき |
2004年以降、スタジオ・施設の最新化が急速に進んでいる東宝撮影所だが、仙川周辺から見える施設の一部には『レインボーマン』撮影当時の景色を遺しているところも少なくない。『レインボーマン』DVDのM作戦編解説書9ページには、草木の化身が東宝撮影所内施設の鉄骨に掴まりながら、死ね死ね団員にキックを繰り出すスチールが掲載されているが、それに類似した景色を今も仙川越しに確認することができる。撮影所事情にお詳しい方のお話によれば、「いずれ(一部旧施設が解体され)PPMセンターが建設される予定」とのことなので、さらに『レインボーマン』撮影当時の景色が激減していくことは確実の情勢と思われる。撮影所周辺では、美しい桜並木や1940〜50年代の建築物と思しき古い木造民家、旧.円谷プロダクション社屋なども見ることができるので、ご興味のある方はぜひ散歩がてら散策していただきたいと思う。
なお本レポート執筆に際しては、特撮ロケ地探求サイト「光跡」管理人・Qちゃん様に貴重な情報のご提供やご助言などをいただきました。「光跡」管理人・Qちゃん様には心よりお礼を申し上げます。
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